こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
このブログは日々の生活の中でも分からないこと、役に立つことを行政書士の視点からブログで書いています。
今回も前回の続きで「戸籍 ④」についてブログを書きます。
戸籍のブログも今回で4回目です。
戸籍の読み方を知りたいという声を多く頂いたから書いています。
おそらく、あと数回は続くと思うので、よろしければお付き合いお願いします。
前回までは、「改製原戸籍」と「全部事項証明書」を書きました。
今回は「除籍謄本」について書きます。
まずは除籍のおさらいです。
〇除籍とは
現在の戸籍から、婚姻や死亡によって外れる場合は「除籍」になります。
これは一部除籍といいます。
戸籍を編製して全員がいなくなった場合も「除籍」になります。
この場合は「除籍簿」という別の帳簿で管理されます。
婚姻や死亡以外では、成人した子が親の戸籍から出て、自分が筆頭者として別の戸籍を作る「分籍」や、引っ越しして本籍を移す「転籍」などがあります。
コンピューター化された除籍謄本は「除かれた戸籍の全部事項証明書」といい、除籍抄本は「除かれた戸籍の個人事項証明書」といいます。
〇除籍の確認で分かる身分事項の変動
除籍をしたり新戸籍を編製したりするときは、元の戸籍(除籍)には転籍先の本籍地が記載されます。
新しい戸籍には、前の本籍地が記載されます。
新戸籍と旧戸籍を照らし合わせることで繋がりを明らかにすることができます。
ですが、戸籍の記載事項は全てが新戸籍に移記されるわけではないのが注意点です。
例えば、婚姻に関する事項などは、現在も有効な身分事項なら移記されますが、離婚をしていて現在有効なものでなければ、移記されません。
また、他の市町村に本籍地を転籍した場合も、転籍先の市町村に新戸籍が編製されて、転籍元は除籍になりますが、転籍先に編製される新戸籍は「転籍するタイミングで戸籍に在籍している者」だけが記載されます。
つまり死亡や婚姻で除籍されている者は新戸籍には記載されません。
ですので、現在の戸籍だけでは親族関係を完全に把握することができないので、除籍謄本も確認する必要があります。
〇除籍謄本の内容
除籍謄本も「コンピューター化される前」と「コンピューター化された後」の2種類がありますので、どちらを載せます。
「コンピューター化される前の除籍謄本」
※管轄移転による例
夫が熊本市中央区で妻が熊本市東区、そして2人で久留米に転籍した例です。
夫が先にお亡くなりになり、妻は久留米に住んでいる設定です。
①と②について
除籍謄本の現在の本籍地と筆頭者です。謄本のタイトル的な役割です。
③について
転籍したため除籍したことが分かります。昔の戸籍は読みにくくて、文章が長くなった場合、下の段に続きが記載されます。
④と⑤について
筆頭者である夫の人生の簡単なストーリーです。
出生、結婚、死亡です。
残念ながら○○〇太郎さんはお亡くなりになったので除籍され、下の段の名前に×印が付けられます。
コンピューター化される前も後も死亡の「時分」も記載されます。
妻の身分事項も、出生、結婚、「夫の死亡」が記載されます。ここには「時分」は記載されません。
コンピューター化された後の「除かれた戸籍の全部事項証明書」
※全部除籍の例
夫が先にお亡くなりになり、その後妻がお亡くなりになった場合です。
①について
除籍謄本の現在の本籍地と筆頭者です。謄本のタイトル的な役割です。
②について
【改製事由】平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改正という文言はコンピューター化による改正を示します。
③と⑤について
夫と妻の名前、生年月日、父母、続柄が記載されます。
④と⑥について
昔の除籍謄本と同じで、身分事項には夫と妻のの出生、婚姻、死亡が記載されます。
※「除かれた戸籍の全部事項証明書」の枠外一番下に「これは、除籍に記録されている事項の全部を証明した書面である」という文言があり、市長の名前と電子職印があります。
(まとめ)
この回で除籍謄本の簡単な読み方を書きました。
除籍謄本は、相続人の調査をする場合は、ほぼほぼ請求する書面になります。「除かれた戸籍の全部事項証明書」は読み取りしやすいですが、昔の除籍謄本は文字数が多く読みづらい記載なのですが、時系列を抑えながらメモ用紙とかに書いて混乱しないようにしましょう。
この時系列って、凄く大事です。戸籍謄本と同時に請求すると思うので、被相続人と相続人の人生をくまなく把握することです。
紙に書くことで頭の中を整理できると思います。
では次回ですが、たぶん一番読み取りの難易度が高い「大正の戸籍」について書きます。
次回は「戸籍 ⑤」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。