「相続 まずやること③」について

こんにちは。

福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

寒さも厳しいですが、皆様お元気ですか?

コロナウイルスも猛威を奮っておりますし、インフルエンザも流行する時期ですので、体調管理にお気を付けて下さい。

では、ブログの内容に入ります。

相続が発生すると、色々大変なことがあるので、全体の流れを書いています。

流れとしては下記になります。

①相続人の調査と財産調査

②遺言書の有無

③準確定申告

④遺産分割協議書の作成

⑤財産の名義変更

⑥相続税の申請と納税

前回で、①相続人の調査と財産調査②遺言書の有無と③準確定申告を書いたので、今回は続きを書いていきます。
今回は相続の手続きで最も重要な「遺産分割協議書」について書きます。
以前のブログでも協議書を書いたことがあるので、少し重複する部分がありますが、前回は基本の「キ」の内容だったので、今回はより具体的に書きます。

(④遺産分割協議書の作成について)

不動産の相続登記や財産の名義変更の際に「遺産分割協議書」が必要となります。
簡単に書くと相続人同士で、誰がどの遺産を相続するか全員で話し合い、納得のうえで住所、氏名、実印を押して、印鑑証明書を添付します。

ですので、全相続人の実印が必要で、財産の分配を決定することになりますので、①相続人の調査と財産調査は当然必要です。

協議書を作成する前に「相続関係説明図」「財産目録」を作成しましょう。
いずれ必要になりますし、よくあるのが、預貯金が普通預金、定期預金、その他有価証券と10以上の口座を持っている方も多いので、情報を整理する必要があり、整理したもと協議をすることになります。

「相続関係説明図」の注意点としては、被相続人の最後の住所、相続人の現在の住所を記載することになりますが、「本籍地」と「住所」は違います。
「本籍地」は原則自由に決めることが出来るので、東京タワーでも東京ディズニーランドでも本籍地にすることが出来ます。

ですので、相続人の全員の現在の住所を確認しておく必要があります。
意外とこれが大変なので、私達みたいな法律家に依頼する方が多いです。

「財産目録」は不動産、預貯金、有価証券、動産などを洗いざらい調べて、整理するため財産目録を作成します。
ここは間違うことが出来ないので、しっかりくまなく作成します。

遺産分割協議書が必要な理由としては、日本の相続のシステムは遺言がある場合は、その内容に従った相続が原則行われ、遺言が無い場合は、法定相続となります。

ですが、法定相続の場合、妻が1/2、長男1/4、長女1/4とざっくりしてますので、現金のみですといいですが、不動産を含めた財産ですと、きれいに割ることが出来ません。

それを協議することで、全員が納得できる内容で分配しましょうという制度です。

〇配偶者移住権について

ちょっと余談ですが、相続財産に自宅(不動産)が含まれていて、預貯金が少なかった場合は、今まで色んな不都合がありました。

例えば、ご主人様がお亡くなりになり、相続人が奥様と子1人で、財産が「家 2000万円」、「預貯金 2000万円」だった場合です。

法定相続では、配偶者1/2、子1/2になりますので、このケースですと、奥様が自宅2000万円を相続し、子供が預貯金2000万円をきれいに相続しても、奥様には現金が手元の残らないということになります。
年金があったとしても、現実の生活は厳しいです。

だからこそ民法が改正され、現在は「配偶者居住権」が創設されました。

配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合、その建物を無償で使用できる権利です。

原則配偶者の方がお亡くなりになるまでの権利ですので、安心です。
登記はきちんとしないといけないので、お忘れなく。

話を遺産分割協議書に戻します。

遺産分割協議書は相続人全員の署名と実印が必要です。
一斉に集まることも、なかなか出来ないのでレターパックなどで、全員で回しながら各相続人の印鑑証明書を同封してもらい次の方に送ったりもします。
※この時に全員の印鑑証明書を集める様にして下さい。必要になります。

ここで大変なこととしては、相続人の調査をした後に全く知らない、会ったこともない相続人がいた場合です。
その人にも実印を押してもらう必要があるので、電話番号は当然分からないので手紙等でお知らせをしたりします。

住所が分からない場合は、法律家に最終的に依頼した方がいいです。

こういう不測の事態がある可能性があるので、前倒しで準備を進めていく必要があります。

協議書を作成する前に内容も話し合って決定すべきです。

遺産分割協議書が完成した後は、色んな手続きが出来ます。

その手続きの際に「法定相続情報証明制度」を併用すると便利です。

この制度は平成29年5月29日から始まった制度です。

今までは相続手続きを行う際、窓口に相続書類を大量に提出する必要がありましたが、
始めに法務局に必要な書類を提出すると、法務局の登記官がその書類を確認し証明をしてくれます。

「法定相続情報一覧図」の写しが発行され、相続登記、預金の解約、車の名義変更等の様々な窓口での手続きの際にとても楽になります。

書類の束が1枚になるのは大変便利です。

不動産の登記にも活用できますので、「法定相続情報一覧図」と「遺産分割協議書」で簡単に法務局で手続きを行うことが出来ます。

(まとめ)

今日は遺産分割協議書のポイント的なものを書きました。

書き方の例は以前書いたブログを参考にして頂ければと思います。

ここまで来れば、あとは各手続をしていくだけなので、特別気苦労は少ないかなと思います。

協議書を作成する前に、きちんと話し合いをして話がまとまればいいですが、そういかないケースも稀にございます。

その場合は最悪、裁判になりますので、可能性が高い場合は初めから弁護士の先生に依頼をしておいた方がいいです。

そのためにも、相続人の調査、確定はお早目に。

たぶん次回が最終回です。

次回は、「相続 まずやること④」を書きますので、宜しくお願い致します。