「自筆証書遺言 保管制度」について

こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。

今回は前回までの関連で「自筆証書遺言 保管制度」についてブログを書きます。

遺言を作成した場合、「公正証書」は保管されます。
自筆証書遺言は自分での管理になるので、以前は紛失や偽造のおそれなど保管が難しいデメリットが存在しました。

でも、現在は「自筆証書遺言保管制度」が始まり法務局で保管されるようになりましたので、安心して作成することができます。
保管の費用もすごく安いです。

自筆証書遺言は、遺言者本人が作成するので費用を抑えることができます。
活用するに越したことはありません。

また、この保管制度を利用すると、家庭裁判所の検認が不要であることも大きなメリットです。
遺言書を発見した人や保管していた人は、遺言者がお亡くなりなると遅滞なく家庭裁判所に検認を依頼する必要があります。

ちなみにこれはあくまでの「遺言書」の存在の確認の作業ですので有効、無効の決定ではありません。

内容に不備があるか等のチェックはありませんので、作成時には専門家に作成やチェックを依頼することをお勧めします。

具体的な内容を書いていきます。

(自筆証書遺言保管制度とは)

「自筆証書遺言保管制度」は令和2年7月10日から開始されたもので、法務局で保管されます。

本局だけでなく、久留米支局とかでも大丈夫です。

保管するものは、「原本」「画像データ化したもの」です。
保管期間は遺言者死亡から原本は50年、画像データは150年です。

保管期間中に遺言を撤回したり、内容を変更することも可能です。

手続きは事前予約が必要となります。
申請は本人のみ代理人は不可ですので、病院で寝たきり等の場合は利用できないので、元気なうちに利用をお勧めします。
ちなみに公正証書は出張での対応も可能です。

手続きの際は遺言書保管官が形式に適合しているかチェックしてくれます。
ですが、中身の正確性のチェックではなく、外形のチェックになります。
外形のチェックとは民法の要件を満たしているかです。基本的な書き方はこちら

遺言書はデータで読み込むので、封をしていると受付できません。
数枚になる場合はホッチキスで止めたりせず、バラバラでもって行きます。

「原本」と「画像データ化したもの」した遺言書は閲覧を請求することもできます。
しかし、生前に閲覧できるのは本人のみとなります。

遺言者がお亡くなりになった場合は、法務局から相続人に通知があります。

通知は2種類です。

①関係遺言書保管通知

②死亡時通知

①について

遺言者が相続人の1人に法務局で遺言書を保管しているんだよ、と教えておくと、相続が開始された時にその人が閲覧や遺言書情報証明書(保管ファイルに記録されている事項を証明するもの)を請求すると思います。

その場合、法務局が他の相続人にも保管されていることを通知してくれます。
ですので、各相続人の相続手続がスムーズになります。

②について

あらかじめ遺言者が自分が亡くなった時に通知を希望していた場合は相続人の1人に通知されます。
これは全員でなく1人というのがポイントです。
その1人が閲覧や遺言書情報証明書を請求すると、他の相続人にも通知されることになるので希望しておいた方がいいです。

〇保管場所はこちらです。

・遺言者の住所地を管轄する遺言保管所

・遺言者の本籍地を管轄する遺言保管所

・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言保管所

(手続きの流れ)

①遺言書を作成する

②保管申請書を作成して予約する

③法務局に行って申請する。

④保管証を受け取る。

①について

公正証書と違い自筆証書遺言は自分で作成することになります。
民法の要件であったり、遺言の内容は専門的な知識も必要ですので、専門家にアドバイスをもらいながら作成することをお勧めします。

②について

保管申請書は窓口でもらうか、ホームページからダウンロードもできます。

予約も窓口に電話するかホームページで予約が出来ます。
当日予約は不可で、30日以内の予約となります。

③について

当日、法務局に行って手数料の3900円を収入印紙で買います。

持ち物はこれです。

・遺言書

・保管申請書

添付書類(住民票の写し)

・顔写真付きの身分証明書

住民票の写しは本籍地と筆頭者が記載されていて3ヶ月以内のものです。

④について

手続きが終わると最後に「保管証」を受け取ります。

「保管証」には氏名、生年月日、保管所の名称、保管番号が記載されます。
保管証はコピーしたものを家族にも渡しておくとより安全です。
忘れてしまうかもしれませんので。

(その他の費用)

①遺言書の閲覧

閲覧は生前の場合は本人のみ可能です。予約も必要です。

〇費用
モニター 1,400円
原本   1,700円

②遺言書保管事実証明書の交付

費用:1通につき800円

③遺言情報証明書の交付請求

費用:1通につき1,400円

※その他、必要書類もありますので、事前に確認をお願いします。

(まとめ)

「自筆証書遺言保管制度」の良いところはいくつかあります。

・保管してくれるので安心

・撤回や内容の変更ができる。

・死亡時に法務局が相続人に通知してくれる

・検認が不要

・あとリーズナブル

あまり知られてません制度が、そんなに遠くない法務局で手続きができますし極端に面倒でもありません。

家庭裁判所の検認が不要であることは大きなメリットです。

遺言書を発見した人や保管していた人は、遺言者がお亡くなりなると遅滞なく家庭裁判所に検認を依頼する必要があります。
ですが相続開始後は、思っている以上にバタバタすることがありますし、故人への想いで活動する気力を出せない方も多いと思います。

先に準備してあげることが優しさの一つではないでしょうか。

次回は法人様向けで「Bar 開業」についてブログを書きますのでよろしくお願いします。