「契約書 ペット相続」について

こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。

今回は「契約書 ペット相続」についてブログを書きます。

以前、「ペット相続」についてブログを書きましたが、契約書によるペット相続の深掘りを文字数の関係上してなかったので、今回あらためて書きます。

(ペット相続のおさらい)

将来、ペットより自分が先に死んでしまったり病気で世話が出来なくなったりすると、その後ペットはどうなってしまうのだろうと心配になる方は多いと思います。

家族と暮らしていると家族がその後も面倒はみてくれますが、一人暮らしの方は特にペットに対する思いが強いと思います。

ですが、前回も書きましたがペットは法律上「モノ」扱いになっており、遺産を相続することはできません。

仮に未来に民法が改正されてできるようになったとしても、ペットは自ら不動産の売買をしたり、資産運用をすることはできません。
つまり、路頭に迷ってしまうのです。

前回は、ペットの未来を守るため3つの方法があると書きました。

①「負担付き遺贈」

②「負担付き死因贈与契約」

③「ペット信託」

今回は②の「負担付き死因贈与契約」を書きます。
他の①と③もご興味のある方はリンクを貼ってますのでご覧ください。

負担付き死因贈与契約とは)

一定の義務を負担することで贈与する契約で「死因贈与」なので、贈与する側がお亡くなりになってから効力が発生します。 民法 第553条 第554条

「ペット相続」の場合ですと、ペットの飼育を条件に新しい飼い主に財産を残す契約となります。
財産を渡すタイミングは本人がお亡くなりになった後です。

「負担付き生前贈与契約」は、生前に贈与されますが贈与税になると高いので引き受けた側の税の負担が大きいので注意が必要です。

(負担付き死因贈与契約のメリット)

①生前からもペットの世話をお願いできる。

②契約の内容が守られることが多い。

③契約の撤回、取り消しができる。

①について

この契約は「自分が死んでしまったらお願いする」だけでなく、「自分がこれから先は入院するからお願いします」という内容の契約にもできます。

長期間入院したり介護施設に入らないといけない場合に使えます。契約開始のタイミングも自由です。

多くの方が、お亡くなりなる直前は入院等でペットの世話が難しい事もあるので、生前から開始される方も多いです。

②について

以前ブログで書きました「負担付き遺贈」は、ペットの世話をすることで財産を渡すと遺言書に書く一方的なメッセージですが、「負担付き生前贈与契約」はお互い合意のもと契約するので、負担が履行されることが多いです。また合意が成立していた場合は破棄ができません。
契約書は念のため証拠力が高い公正証書にすることをお勧めします。

③について

生前からペットの世話が始まっていた場合は、万が一、ペットの世話を引き受けた人(受贈者)がきちんと実行していなかった場合は契約を取り消しすることもできます。

お亡くなりになった後は、「負担付き死因贈与契約」で「死因贈与執行者」を指定しておくことができます。

きちんと契約が守られていない場合、執行者からペットの世話をすることを請求できますし、改善されない場合家庭裁判所に死因贈与の撤回を申し立てることも出来ます。

(負担付き死因贈与契約の書き方の例)

今回はお亡くなりになった後に効力が発生するバージョンです。

(まとめ)

「負担付き遺贈」はペットの世話をすることで財産を渡すと遺言書に書く一方的なメッセージですが、「負担付き死因贈与契約」の場合お互い合意のもと契約するので、負担が履行されることが多いです。

生前から開始もお亡くなりになった後に開始も設定することができます。

死因贈与執行者を指定したり法律の深い知識が必要になりますので、確実性を持たせるため公証役場で公正証書を作成することをお勧めします。

この契約はとても使える選択肢の1つですが、これも遺留分が絡んでくるので注意が必要です。

大切なペットの未来を守るため、今のうちから準備を進めた方がいいです。
後々判断能力が低下すると契約自体を行うことが難しくなる可能性があるからです。

次回からは法人様向けで「建設業開業」についてブログを書きますのでよろしくお願いします。