「契約書 任意後見」について

こんにちは。

福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!

もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。

今回は「契約書 任意後見」について書きます。

誰しも必ず「老い」が訪れます。
自分が年を取ると、少しずつ物事を判断する能力が衰えていき、最終的に認知症の状態になる可能性があります。

そうなると自分の財産の管理ができなくなったり、何かの契約を締結することが出来なくなったりするので、将来自分がそうなってしまったらどうしようと心配な方も多いと思います。

対策として自分の信頼できる人にあらかじめ、自分がそういう状態になった時に代わりに財産管理や生活に必要な契約締結をしてもらうことを頼んでおくと、安心して老後を迎えることができます。

その契約が「任意後見」の契約です。

(任意後見人)

財産管理や契約締結を頼まれた側が「任意後見人」です。
介護とかをするのではなく、頼んだ人の頭脳として管理や契約を代理で行うイメージです。

具体的な仕事としては下記です。

財産管理

②介護や生活面の手配

①について

預貯金や不動産の管理、税金の支払い等です。

②について

介護サービス提供の締約締結、医療契約締結、入院の手続き等様々です。

任意後見人の仕事は本人の判断能力が衰えた時から開始します。
本人がそういう状態になった場合、任意後見人や家族が家庭裁判所に対して、任意後見の事務を開始したいので「任意後見監督人」を選任してほしいと申立します。
そうすると家庭裁判所が任意後見人を監督する「任意後見監督人」を選任します。

「任意後見監督人」は任意後見人が適正な仕事をしているかをチェックしたりするので、万が一信頼できる人に頼んだが、財産を使い込んでいたとかの不正を防ぐことができます。

任意後見人が不正などを行っていた場合は、本人や家族、任意後見監督人の請求により解任することができます。

任意後見開始の流れ)

契約書作成

①公証役場で公正証書を作成する

②法務局で登記する

判断能力低下後

③医師に診断書を作成してもらう

④家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申立

⑤任意後見監督人の選任

①について

任意後見契約書は公証役場で公正証書として作成をしないといけません。
任意後見契約に関する法律 第3条

重要な契約ですので慎重に行われます。

必要書類

本人

戸籍謄本

住民票

印鑑証明書

実印

身分証明書

・任意後見人

住民票

印鑑証明書

実印

身分証明書

手数料

11,000円

病院や自宅に公証人が出張する場合は+5,500円と旅費等が発生します。

②について

法務局で登記をします。登記をすれば任意後見人は、法務局から氏名や代理権の範囲が記載された「登記事項証明書」を交付されます。
登記をすることで任意後見人はいつでも代理権を証明することができます。

③について

判断能力が低下してい後見が必要と感じた場合は、医師に診察してもらい判断能力低下を証明する診断書を作成してもらう必要があります。
この診断書は家庭裁判の判断材料の1つになります。

④について

任意後見を開始するため、家庭裁判に任意後見監督人の選任の申立をします。

申立人

・本人

・配偶者

・4親等内の親族

・任意後見人

必要書

・申立書

・本人の戸籍謄本

・任意後見契約公正証書の写し

・登記事項証明書

・診断書

・本人の財産に関する資料

⑤について

任意後見監督人が選任されます。
本人の親族でなく、第三者が選ばれることが多いです。
当然、任意後見人を監督する立場なので、任意後見人はなれませんし、任意後見人の家族もなれません。

(任意後見契約書の書き方の例)

(まとめ)

任意後見契約は自分の将来を見据えて、先に手を打つことでトラブルを避けるための予防行為です。

現在は任意後見はずいぶん認知されており利用される方も多いです。

公正証書で作成され、後見人はきちんと登記され、開始する場合は一度裁判所を通し、不正がないよう監督人もつきますので安心して利用できます。

ただ、任意後見制度の場合、後見人が財産を管理するので家族が財産の処分をすることが難しくなるケースもあります。
ですので、契約する前に一度家族と相談をして決定した方がいいと思います。

「任意後見契約」と違い家族が将来財産の管理をすることもできる「家族信託」という選択肢もありますので。

次回は「契約書 家族信託」についてブログを書きますのでよろしくお願いします。