こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。
今回からは個人のお客様向けに「戸籍 ①」について書きます。
「戸籍」という単語は誰もが一度は耳にしたことがあるもので、なんとなく分かっている方も多いと思います。
よくあるのが、相続の時に戸籍が必要だったりしますが、実際戸籍の詳しい部分まではよく知らない方が大多数です。
実際、私もこの仕事をするまでは知ってはいたけど詳しくは知りませんでした。
けっこう読み解くのも難しいので今回のブログで書いていきます。
細かい内容まで書くので今回も複数回に分けます。
まず、一回目は「戸籍」の基本知識から書いていきます。
(戸籍とは)
「戸籍」とは、出生してから死亡するまでの身分関係(出生・結婚・死亡・親族関係)を記録した市町村の役場が管理している書類です。
保管は本籍地を所轄する各市町村長で管理しているので、必要な場合はそこに請求することになります。
戸籍は現在は原則として、1組の夫婦とその夫婦と同じ氏の未婚の子を編成単位として作られています。
※3代戸籍ではありません。
未婚の子が結婚すれば、また別の新しい戸籍が作成され親の戸籍から離れます。
イメージとして、戸籍には人の一生のサイクルを追って登録していきます。
1 出生(出生に関する事項)
2 結婚・離婚(結婚・離婚に関する事項)
3 子の誕生(親子関係・養親子関係に関する事項)
4 死亡(死亡に関する事項)
戸籍に記載される内容は下記です。 戸籍法第13条
・氏名
・出生の年月日
・戸籍に入った原因及び実父母との続柄
・実父母の氏名及び実父母との続柄
・養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
・夫婦については、夫又は妻である旨
・他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示
・その他法務省で定める事項
「本籍」とは戸籍の所在場所を指します。「本籍」と「住所」は全く別のものです。
「住所」とは民法では「各人の生活の本拠をその者の住所とする」と定められています。
ですので、住民票の代わりとかには使えません。
戸籍の性質としては、私的身分の登録簿であることと、日本国の国籍を有することの公的な身分の登録簿である2面の性格があります。
なぜなら、日本国籍がない外国人は戸籍の登録が認められていないからです。
※戸籍には日本国籍の取得や喪失の届出情報も記録されます。
(戸籍の請求方法)
例えば、相続が開始した場合に相続人を確認するため戸籍を集めることになります。
戸籍は国が本籍地を所轄する各市町村長に事務を委託している状態なので、請求は本籍地を所轄する役場などに請求をします。
遠方の場合は郵送請求ができます。
費用はこのようになってます。
・戸籍謄本・戸籍抄本 450円
・除籍謄本・除籍抄本 750円
・改製原戸籍謄本・改製原戸籍抄本 750円
・戸籍附票謄本・戸籍附票抄本 100~500円
郵送請求の場合は直接窓口で払えないので、郵便局で定額小為替を購入して請求書と一緒に送ります。
1枚購入する度に100円の手数料がかかるので注意して下さい。
郵送請求する場合は前もって役所に電話をして、いくらくらい小為替を入れた方がいいか相談した方がいいです。おつりもきちんと返ってきます。
あと、郵送請求の場合は割と時間がかかることもあるので、出来るだけ早めに動いた方がいいです。
〇戸籍の請求ができる人
戸籍の請求ができる人は「法律で定められた人」で、戸籍法の第10条で定められています。
①戸籍に記載されている者、その配偶者、直系尊属、直系卑属
※ですので、兄弟が該当しませんので、その場合は理由を明示する必要があります。
②弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士
(戸籍の種類)
戸籍には種類があります。
・戸籍謄本
・戸籍抄本
・除籍謄本
・改製原戸籍謄本
「戸籍謄本」とは、役所に保管されている戸籍の原本全部を写した書面のことです。
全員の記載事項があり、相続の手続きの際は必須となるものです。
「戸籍抄本」とは、戸籍の原本の一部を抜粋して写した書面で、請求された特定の個人の記載事項があります。パスポートの取得の際などに使われます。
今までは、紙に記録していた戸籍でしたが、平成6年に戸籍法の一部が改正され、戸籍を磁気ディスクに調整できるようになり「戸籍のコンピューター化」が進みました。
現在は戸籍謄本は「全部事項証明書」、戸籍抄本は「個人事項証明書」として交付しています。
〇除籍とは
現在の戸籍から、婚姻や死亡によって外れる場合は「除籍」になります。
これは一部除籍といいます。
戸籍を編製して全員がいなくなった場合も「除籍」になります。
この場合は「除籍簿」という別の帳簿で管理されます。
婚姻や死亡以外では、成人した子が親の戸籍から出て、自分が筆頭者として別の戸籍を作る「分籍」や、引っ越しして本籍を移す「転籍」などがあります。
コンピューター化された除籍謄本は「除かれた戸籍の全部事項証明書」といい、除籍抄本は「除かれた戸籍の個人事項証明書」といいます。
〇改製原戸籍とは
日本の戸籍制度は歴史が古く、現在に至るまで明治19年、明治31年、大正4年、昭和23年、平成6年に戸籍法が改正されてきました。
平成6年以降が「コンピューター化された戸籍」です。
原戸籍の「原」は本来という意味で「げん」や「はら」と呼びます。
改正原戸籍は大きく2つの特徴があります。
A 昭和32年の法務省令による改正
B 平成6年の法務省令による改正
Aについて
それまでは、孫、甥、姪も含めて同じ戸籍でしたが、現行の「一の夫婦と同氏の未婚の子」に変わりました。
Bについて
戸籍をコンピューターで調整することができるようになりました。
それまでの戸籍はとても読みにくいものも多かったのですが、平成6年以降のものは、すっきりして読みやすいです。
改正の時、その時点で在籍する人だけ移記されているので、既に死亡した方が記載されていないのが注意点です。
(まとめ)
今回から戸籍について書き始めました。きっかけとしては、「昔の戸籍の読み方が分かりにくい」という声を色んな方から頂いたからです。
まあ、気持ちは分かります。私も生まれて初めて原戸籍を見た時は、意味不明に感じました。
質問された際は、その都度きちんと読み方を説明してますが、少しでも多くの方に知って貰えればと思いました。
ブログなので、なかなか伝えにくい部分もありますが、とりあえず書いてみます。
今回は、戸籍を読むための予備知識を書きました。
次回は「戸籍 ②」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。