「財産分与 Q&A」について

こんにちは。

福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

今は「離婚」に関連するブログを書いています。

前回から離婚に関するQ&Aを書いています。
離婚を検討される皆様の事情は複雑で、自分の場合はどうなるんだろうという方が多いと思うので、書いていきます。

まず前回までで、「養育費」「親権」について書きました。
今回は「財産分与」について書き、次回は最期に「慰謝料」について書きますので、宜しくお願い致します。

(財産分与のQ&A)


Q 離婚することになりましたが、どんなものが財産分与の対象になりますか?

A 婚姻後に築いた財産が対象になります。

○解説

民法第768条に財産分与が明記されています。
財産分与の請求は離婚時から2年間にしないといけません。
基本的には半分ですが、協議が調わないときは、一切の事情を考慮し家庭裁判所が分与の額や方法を定めます。

分与の対象は下記です。

・預貯金(生命保険も含みます)
・不動産
・有価証券、投資信託
・動産
・退職金など

結婚前に自分で貯めていた貯金などは固有財産となるので対象になりません。


Q 離婚することになりましたが、清算する財産が特にないですが、今後の生活が厳しいです。

A 扶養的財産分与があります。

○解説

もともと財産分与は、今まで築いた財産を離婚時に清算するという機能もありますが、離婚することによって生活が不安定になる側を扶養するという側面もあります。

今まで専業主婦だった方が、突然離婚をすると当然収入がありません。
ご主人様は今までの仕事をするので収入がありますが、そもそもご主人様が今まで仕事に専念できていたのは、奥様の支えがあったことも否めません。

その場合は一定期間生活の援助をする必要があります。
これを扶養的財産分与といいます。

支給する期間は奥様の就職先が決まる等をメドにします。

財産分与は清算だけの機能ではなく、公平にこれからの人生を安心して歩ける様に、経済的に弱い方に分配するという機能も側面にございます。


Q 財産分与をする時の財産の評価はどうやって調べればいいですか?

A 動産は専門家に鑑定してもらいます。不動産は評価額や不動産鑑定士に行ってもらいます。

○解説

相続の時もそうですが財産を分割する場合、預貯金であればきれいに割る事が出来ますが、不動産や動産がほぼほぼ絡んでくるので、それぞれの価額を確認する必要があります。

不動産であれば固定資産税評価額で現在の価額の確認が出来ますし、不動産鑑定士に依頼する方もいます。
住宅ローンが残っていることが多いので、その分は評価額から差し引きます。

貴金属などは、専門化に鑑定してもらいます。意外なものが実は高くなったりすることもあります。

総額の計算が出来次第、現金を絡めて公平に分配することになります。
この内容は離婚協議書に具体的に記載します。

(過去の裁判例)

A 退職金の財産分与の算定

○事件

離婚時に夫の将来給付が見込まれる退職金の財産分与を妻が求めました。
夫は定年になるまで、最長5年間勤務することが見込まれてました。
裁判で夫に550万円の支払いが命じられたが、妻は算定基礎の額より多く支給される見込みがあると、不服で控訴しました。

○事件のポイント

退職金の支給額が変動する可能性がある場合、どのように判断されるか?

○判決

「実際に支給される退職金」によって定める内容で支払いが命じられた。

B 成人になった子からの扶養申立て

○事件

離婚後、子が18歳になるまでの間父親から生活費などの援助を受けていました。
ですが、大学進学を理由に母親から申立てがあり、扶養期間を20歳までに延長しました。
その後、成人した子は大学の卒業まで学費と生活費を援助する様に求めました。
家庭裁判所では父親が負担する義務はないとしたため、子は高等裁判所に抗告しました。

○事件のポイント

成人した子が、卒業まで継続して扶養を求めることは可能かどうか?

○判決

大学生の扶養は、子の経済環境など、様々な事情を考慮して決定すべきで、健康な成人だから、ただちに扶養が必要ではないとの判断は相当でないとして、家庭裁判所に差し戻しました。

(まとめ)

今回は財産分与について書きました。

ポイントは下記です。

・分与は基本的には半分で、専業主婦でも半分になる傾向があります。

・分与は結婚後に築いた財産です。

・財産分与は清算の側面と扶養の側面があります。

今回は判例を少し書いたのは、判断に迷うケースも多々あると思うので、その場合は過去の裁判の判例を参考にするといいです。
判例は法律の条文と同じくらいの力があり、条文にない細かいイレギュラー案件も裁判所が過去に審理してくれていることが、結構多いです。

私はいつも離婚相談を受けた場合は、条文と判例を基に判断しています。
それでも判断に迷う場合はご相談下さい。

次回が最終回です。「慰謝料 Q&A」について書いていきますので宜しくお願い致します。