「親権 Q&A」について

こんにちは。

福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

今年は今のうちに忘年会をしましょうという声が多く、11月上旬からなんか色んな忘年会に参加していて、楽しいですがへとへとです。
まあ、12月は色々忙しいので今のうちに忘年会も効率はいいのかもです。
コロナも読めませんので。

ではブログの内容に入ります。

今は「離婚」に関連するブログを書いています。

前回から離婚に関するQ&Aを書いています。
離婚を検討される皆様の事情は複雑で、自分の場合はどうなるんだろうという方が多いと思うので、書いていきます。

まず前回は、「養育費」について書きました。
今回は「親権」について書き、次回からは「財産分与」「慰謝料」について書きますので、宜しくお願い致します。

(親権のQ&A)


Q 離婚することになりましたが、事情があってどちらも子供を引き取ることが出来ませんが、どうしたらいいですか?

A 国が監護者になることがあります。

○解説
病気や借金、再婚等で子を引き取ることが出来ないというケースも稀にあります。
基本的には、親権者と監護者は同一のことの方が都合がいいのですが、親が親権を辞退する場合です。

一方の親が親権を辞退した場合、もう一方の親が親権者になるのが一般的ですが、やむを得ない事情があったり、親権者としてふさわしくないと裁判所が判断した場合は、子は養育施設に入ることになります。

国が子の監護者のなり、どちらか一方が一緒には暮らしませんが親権だけを持ちます。
虐待などの場合は、裁判所の決定で親権が停止される場合もあります。


Q 事情があって子供の一人にか引き取ることができませんが、どうしたらいいですか?

A 一人だけ引き取ることも可能ではあります。

○解説
子が2人以上いた場合、それぞれの子について親権者を決めることは可能です。
その場合は、「子の福祉」に重きを置き決定する必要があります。

判例でも、子の福祉に重きを置きどちらを親権者にするか決定したこともあります。

ですが、兄弟をばらばらにする事は子の成長に影響を及ぼすおそれもあることを、しっかり考えるべきです。

子の福祉で考えるのならば、親権者はどちらか一方が望ましいです。
大人の都合より、子の福祉の方が大切です。


Q 妻と離婚しますが、子の親権を欲しいのですが、父親はやはり不利でしょうか?

A 不利にならない場合もあります。

○解説
過去の判例では母親が親権者、監護者になることが多いのは事実です。
子供が小さい場合、実際に子の世話をする、教育環境を整えることは母の方が適していると判断されることが多いからです。
これも子の福祉に重きを置いているからです。

子供がある程度大きかった場合は話が変わります。

ですが例えば、母親もバリバリのキャリアウーマンで、父親と同じくらいに働いている場合は対等ですので、話し合いによって決定します。

また、離婚の原因を作ったのが母親だった場合は、親権者としてふさわしくないので、父親が親権者になるケースも珍しくはないです。


Q 離婚後に妊娠していることが分かりました。赤ちゃんは私が親権者として育てたいのですがどうでしょうか?

A 離婚後300日以内に生まれた子の親権者は母親になります。

○解説
これは民法の条文に明記されています。

民法 第772条2項

「婚姻成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」

前回もちょっと書きましたが、離婚成立後300日以内に生まれた子供は前の夫との子供と推定されます。

民法 第819条3項

「子の出生前に離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。」

法律上では、協議がない限りは生まれた赤ちゃんの親権は母親になります。
ちなみに、協議をする場合は、出生前でなく出生後に行います。


Q 一度離婚の時に子供を引き取らなかったのですが、やはり一緒に暮らしたいです。今更ですが、引き取ることは出来ないでしょうか?

A 可能です。親権者が誰かで手続きが変わってきます。

○解説
離婚時に親権者と監護者を決定しますが、その時に引き取らなかったけど、後になって子供と暮らしたいと考える方も少なからずいらっしゃいます。

この場合、戸籍に記載されている親権者がどっちかで変わります。

例として、離婚時に母親が監護者だったとします。
そして、父親が子供と暮らしたいと希望している設定です。

○自分が監護者でないが親権がある場合

この場合は協議で監護権の移転が可能です。
折り合いが付かない場合は調停になってしまいます。

○自分に親権がない場合

この場合は戸籍の変更となりますので、協議だけでは手続きが出来ません。
家庭裁判所の親権者変更の調停、審判を経て決定します。
この時の家庭裁判所の判断基準も子の福祉となります。

(まとめ)

今回もご質問が多い「親権」の内容を書きました。
親権は親の子供を所有するための権利ではなく、社会的な責任です。
ですから、戸籍にも親権者は記載されます。

全ては「子の福祉」を中心に考えて、決定するものです。

そして、親権と監護権は分けると後々大変なことがあるので、どちらか一方にした方がいいです。

親権の取り決めも、きちんと公正証書で作成することをお勧めします。

次回は「財産分与 Q&A」について書いていきますので宜しくお願い致します。