こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
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今回は「事業再構築補助金」について書いていきます。
申請の流れなどは他の補助金と基本的な部分はそこまで変わらないので、概要の部分を重点的に書きます。
長期化するコロナ禍において、今までのビジネススタイルでは運営が難しいと感じた事業様が、変化に対応するため思い切った事業再構築するうえでの支援の補助金です。
新分野の展開、業務転換、設備やシステムの購入費用等の補助金で、例としては飲食店のデリバリー店の新設等です。
設備費、システム導入費だけでなく、建物の建築、改修費、広告宣伝費も対象となります。
※不動産の購入費は対象外です。
費用の2/3を補助し1社あたり100万円~1億の給付となります。
「事業再構築補助金」の概要と簡単な流れ、必要書類等を書いていきます。
〇事業再構築補助金の概要
「事業再構築補助金」はコロナ禍で創設された事業者のための補助金です。
(要件)
①2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上が、コロナ以前の同3か月と比較して10%以上減少していること。
②事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。
3,000万円を超える場合は、認定経営革新等支援機関だけでなく金融機関も交え策定すること。
※認定経営革新等支援機関とは
中小企業などの経営を強化する目的で経済産業省が国策として認定している機関です。
税理士や弁護士、行政書士など仕業関連の個人や法人、金融機関等が認定されてます。
③補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率3%以上増加または従業員一人当たり付加価値額の年率3%以上増加
※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。
つまり人件費を増やすか、現金収入を増やすことが条件でとなります。
補助金を受けるからには雇用と資産を増やして儲かって下さいね、という内容です。
変化に対応するため思い切った事業再構築するうえでの支援の補助金ですが、
事業再構築には5つのパターンがあります。
①新分野展開
②事業転換
③業種転換
④業態転換
⑤事業再編
①について
現在の事業を新分野に転換されることです。
今までの業種は変えずに新製品を出すことです。
あくまでも例ですが、今まで焼き鳥屋さんだった店が、ハッピーアワー限定で唐揚げとハイボールの1コインセットを出したり等です。
「新分野展開」は3つの要件があります。
・製品の新規性要件
・市場の新規性要件
・売上高要件
「製品の新規性要件」は、過去に製造した実績がないこと、主要な設備を変更することです。
焼き鳥屋さんの例で例えると、
過去に製造した実績がない⇒唐揚げの商品は出してなかった。
主要な設備を変更する⇒フライアーを導入する。
「市場の新規性要件」は、もともとの製品やサービスの売上は落とさず、新しい製品で売上を10%は確保することです。
「売上高要件」は、新製品が事業計画期間終了後に売上の10%以上を占めることです。
②について
業種を変えることなく事業を変更することです。
例では、居酒屋さんが換気が徹底している焼肉店に変更したり等です。
牛乳屋さんをコンビニに転換させた「ローソン」も代表的な例です。
「事業転換」にも3つの要件があります。
・製品の新規性要件
・市場の新規性要件
・売上高要件
③について
②とは違い業種を変更することです。
例では、レンタカー事業から貸切ペンションに変更することです。
「業種転換」にも3つの要件があります。
・製品の新規性要件
・市場の新規性要件
・売上高要件
④について
「業態」とは製品の製造方法や提供方法を変更することです。
例では、スーパーで売っていた野菜をコンビニで販売したり、飲食店で提供していた餃子を自動販売機で販売したり、教室での習い事をオンラインで提供したり等です。
「業態転換」にも3つの要件があります。
・製品の新規性要件
・市場の新規性要件、設備撤去等要件
・売上高要件
⑤について
M&A等の事業再編です。合併、会社分割、事業譲渡等です。
例では、会社分割であれば食品を製造していた会社が今まで通りお惣菜を作りつつ、分割した会社でカレーライスの製造販売をしたり等様々な選択肢があります。
合併の場合は1+1が=3以上になる様なアイデアも必要です。
「事業再編」には2つの要件があります。
・組織再編成要件
・その他の事業再構築要件
※単純に買収合併では要件を満たさず、事業を再構築する必要があります。
〇補助対象外
・不動産の購入費 ※撤去は補助されます
・株式の購入費
・車両の購入費等 ※デリバリー車両の冷蔵設備などは対象になります。
(補助上限)
・通常枠 補助額 100万円~6,000万円 補助率 2/3
・卒業枠 補助額 6,000万円~1億円 補助率 2/3
※卒業枠とは、事業計画期間内に①組織再生、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかで資本金や従業員を増やして、中小企業から中堅企業に成長する企業向けの特別枠です。
〇事業再構築補助金の流れ
事業再構築補助金も他の補助金と流れは同じで、
申請⇒審査と採択⇒事業の実施⇒実績報告書⇒確定検査⇒補助金の確定⇒受領となります。
事業の実施は約1年程です。(要件)でかいたように明確な数値目標がありますので達成する必要があります。
〇必要書類
※通常枠以外は別途必要書類があるのでご相談ください。
必要書類は5つです。
・(事業計画書)
認定経営革新等支援機関と相談して作成します。最も重要な提出書類ですので、数字は明確、かつ根拠を提示する必要があります。
・(認定支援機関の確認書)
事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する必要があります。
・(売上高減少のエビデンス)
2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上が、コロナ以前の同3か月と比較して10%以上減少していることを証明する書類です。
・(直近2年の決算書)
賃借対照表や損益計算書です。2年分がない場合は1期分でも大丈夫です。
・(事業財務情報)
事業再構築補助金の申請は経済産業省が開設している「中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポplus」に登録する必要がありますので、そこから「事業財務情報」を作成します。
(まとめ)
「事業再構築補助金」はコロナ禍で創設された事業者のための補助金です。
変化をしなければ事業の継続が難しい企業様のために転換のチャンスを与えてくれる制度です。
数値目標があり、それを達成させるための事業計画は明確性と確実性が必要ですが、現在の事業を見つめ直す1つのきっかけになると思います。
前に進むことで見える景色も変わることがあります。
「ピンチをチャンスに変える」考え方も必要かもしれません。
何かあれば是非ご相談下さい。
次回は「新型コロナウイルス対応のための特別枠」について書いていきますのでよろしくお願いします。