相続人の調査について

こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!

もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。

相続手続きの中で時間と手間がかかりやすいのが「相続人の調査」です。
ミスが出来ない内容なので慎重に行う必要もあります。
相続が開始されると思いのほか忙しくなってきますので、少しでもお役に立てればと思いブログを書きます。

相続が開始された場合の手順して、
①遺言の有無を確認
②財産を調査
③相続人を調査
④遺産分割協議書を作成

①の「遺言書の有無」は公正証書遺言や法務局で保管している自筆証書遺言は検索システムで確認することができます。

②の「財産の調査」は不動産の場合は固定資産税通知書等で地番と家屋番号を確認し登記簿謄本を取得した後、不動産の価格を確認します。

③の「相続人の調査」が私が思うに一番時間と手間がかかる作業です。

最終的に不動産の相続登記をする場合に「相続人はこの方々です!」と証明するため戸籍を提出することになりますし、
遺産分割協議書を作成する際、何らかの形で相続人全員が参加して協議を行う必要があります。
戸籍は被相続人の戸籍と相続人の戸籍の2種類です。

「親族全員のことは把握してます」と思っていても、戸籍を収集して実は初めて亡くなった被相続人(お亡くなりになった方)が隠し子を認知していたりとは、一度もあったことがない腹違いの子供がいるケースも皆無とは言えません。

これを調査するために、まず被相続人の「出生から死亡までの」連続した戸籍を収集する必要があります。
戸籍は本人の本籍地の役所で取得することになるので、もし遠方だった場合は郵送請求をすることになります。本籍が複数回移動していた場合は、それぞれの役所に請求するので時間がかかります。

(被相続人の戸籍)
戸籍は2種類あります。
・戸籍謄本 戸籍の原本全部の写しでコンピュータかされた戸籍は「全部事項証明書」と記載されてます。
・戸籍抄本 戸籍の原本の一部を抜粋したものでコンピュータかされた戸籍は「個人事項証明書」と記載されてます。

必要書類は「戸籍謄本」です。

チェックしていく項目はいくつかありますが、一番重要なのが「婚姻」「離婚」「養子縁組」「転籍」「認知」の単語があるかの確認です。
ここを掘り下げていくことで相続人を確認することができます。

〇相続人調査のポイント

・被相続人に子供が以前いた場合、先に死亡した子の出生から死亡までの戸籍を収集します。
その死亡した子に子がいるかの確認です。

・被相続人に子がいない場合配偶者は必ず相続人になりますが、親や兄弟姉妹の存在を確認する必要があるので戸籍を収集します。

数次相続(相続手続き完了前に2回以上相続が発生している場合)
例えば10年前に父が亡くなり、相続の手続きをしていない状態で最近母が亡くなり相続が開始された場合のことです。
この場合は父が亡くなった時に相続が発生していて、その後母が亡くなりまた相続が発生している二重の状態なので、
父が亡くなった後母に相続分が存在するので、父だけでなく母の出生から死亡までの戸籍を収集します。

平成6年から順次コンピュータ化された戸籍は読みやすいですが、古い「改製原戸籍」は手書きで文字も非常に読みにくいので苦労される方も多いと思います。
正直私も生まれて初めて見た時は何が書いているか分からない程読み取りが難しかったです。

出生から戸籍を収集していくとその方の人生が見えます。ただの紙にその方の本籍の記録しか載っていませんが不思議とその方の人生が見えます。

相続人が確定したら相続関係説明図を作成します。(不動産登記の時の添付書類で必要になります)

(相続人の戸籍)

相続人が確定したら全員分の戸籍謄本を準備します。(不動産登記の時の添付書類で必要になります)

※相続人のうち現在の住所が不明の場合は戸籍の附票を取り寄せて現在の住所を確定し手紙等で連絡をする必要があります。
戸籍の附票とは戸籍が作られてから現在までの住所が記録されているものです。
戸籍の附票も本籍地の役所に請求となるので住所が移転している場合は複数の役所に請求することになります。

まだ一度もあったことがない相続人に連絡をし遺産分割の協力をお願いすることになりますが、大切なことは礼節をもって対応することです。
もしかしたら、その相続人にとっては初めて知る事実で困惑したり複雑な気持ちになられる方も沢山いらっしゃいます。
その方の日常の生活にある意味異物な事実とお願いをすることになりますので、謙虚かつ感謝の気持ちで接するべきです。

相続人が行方不明又は連絡がまったく取れない場合は、不在者財産管理人を選出することになります。
不在者財産管理人とは行方不明の相続人の財産を管理する人で、家庭裁判所に申立することで裁判官の審理により選任されます。
ただ短期間だけ連絡がとれない等の場合は選任してもらうことは出来ません。

①~③が終わりましたら④の「遺産分割協議書」を作成します。詳しくは次回のブログに書きますのでよろしくお願いします。