こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。
今回は前回の続きで「行政書士試験合格術 民法」についてブログを書きます。
前回、メインの「行政法」の学習ポイントについて書きましたので、今回は次に配点が高い「民法」について書きます!
民法の配点も凄く高いです。
〇5指択一式
・民法 (9問 36点)
〇記述式
・民法 (2問 40点)
合計76点です。全体の300点満点中の25%を占めます。
法令は244点満点なので、31%を占めます。
※行政法が112点だったので、行政法と民法で188点です。
法令は244点満点なので、77%を占めます。
この2科目がどれだけのウェイトを占めているか理解して貰えると思います。
あと、「民法」は様々な法律の基礎となっています。
「憲法」を土台に「民法」があり、特別法に「商法」「会社法」が存在します。
行政法の学習にも「民法」の要素は沢山出てきます。
実際の行政書士の業務でも民法は切っては切り離せない法律ですし、皆様の生活の各場面が民法によって構成されています。
民法はそれほど重要な法律です。
試験のためでなく、将来の業務のためにしっかり学習しましょう。
※これは私なりのやり方で、勉強方法は個人個人で違うので参考程度に読んで下さい。
あと、基本的に独学する方向けに書いてます。
(学習のイメージ)
民法の学習は「登山」とイメージして下さい。
民法も他の法令科目と同様に何週もする必要があります。
テキストと条文、判例を読み込んで、アウトプットを繰り返します。
まず、始めの1週目は登山のように頂上が全く見えない状態です。
私の場合、意味が全く分かりませんでした。
ですが、我慢して学習を進めていきます。
2週目くらいから「あー、なるほどね」となっていき、3週目くらいに頂上が見え始めます。
(人によります。もっと早い人もいると思います)
何週もするうちに一旦頂上にたどり着き、下山する時に今まで意味不明だった事柄の内容が凄く分かります。
上っている途中の景色をしっかり理解できるようになります。
ですので、はじめては「我慢」。これを知っておくだけでも気持ちが楽になります。
(民法について)
民法とは、私人間の権利義務を調整するための法律で、非常に細かい内容が書かれてます。
条文も1050条まであります。
最近法改正もされ、より充実してきた法律です。
現在の行政書士の業務が社会の複雑化、高度化に伴い以前より民法の深い知識を求められているのか、問題の難易度が高いです。
苦痛なく学習する方法は、暗記するのではなく理解しながら勉強することです。
民法は実生活にも深く関わる法律ですので、色んなシチュエーションが目に浮かびやすいです。
相当活躍する法律で、私自身も民法という法律に助けられたことが多々あります。
民法の根底は第1条2項だと私は思います。
「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」民法第1条2項
「信義則」と呼ばれ、全て法律の基礎となる考えたになっています。
民法を学習する際には、常にこの「信義則」を意識しながら理解に努めると吸収が早くなります。
実際の試験問題も判断に困った時は信義則に立ち戻って考えると正解に辿り着けることもあります。
(民法の構成)
民法の構成はこの様になっています。
①民法総則
②物権法
③債権法
④親族法
⑤相続法
①について
民法には三大原則があります。
・私的自治の原則
「社会関係は自由な意思によって形成される」
・所有権絶対の原則
「個人は自己の所有財産を自由に使用、収益、処分できる」
・過失責任の原則
「損害賠償を負わされるには過失がなければならない」
ですが、これが絶対であると柔軟性に欠け不都合が生じることもあるので、民法の第1条でバランスをとるための原理が書かれています。
民法第1条
私権は、公共の福祉に適合しなければならない
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない
3 権利の濫用は、これを許さない
1条の原理に反しない前提での三大原則となります。
民法総則は174条まであります。
内容は大きく下記です。
・権利能力
・行為能力
・失踪宣告
・法律行為
・時効
テキスト、条文、判例の読み込みをして問題集でアウトプットを何週もします。
上の5つはどれも重要な内容ですので、時間をかけてもいいのでしっかり理解しましょう。
②について
第175条から「物権」が始まります。
「物権」は物に対する権利です。
所有権や地上権、地役権、占有権、質権、抵当権などです。
所有権などの権利が移動することを「物権変動」といいます。
これの仕組みをきちんと理解するのが一番大事なことかなと思います。
特に不動産に関する物件変動は「登記」をしないと「第三者」に対抗できません。民法177条
「第三者」に関して判例があるので必ずチェックして記憶する必要があります。
物権の中で「抵当権」は出題されやすいです。
抵当権は法定地上権とも絡んでくるので、条文や判例はきちんと押さえておきましょう。
③について
債権法が一番ボリュームがあります。
最近法改正もあったので出題予想もなんとなく出来るので一番時間をかけていいと思います。
「債権」は特定の人が特定の人に対して、財産上の行為、給付を請求することが出来る権利です。
これも「信義則」には反することが出来ません。
債権だけでなく、民法全体として問題を解く際は必ず登場人物の整理が必要です。
問題文を読んで登場人物の図を書いて思考します。
例えば、行政法とかは知識を問う問題が多いので図を書くこともなく、答えを即決します。
ですが、民法の問題は知識を使い正解を思考する必要があるので、1問あたりに使う時間が多くなります。
最終的には1問あたり3分くらいで解けるのが理想的ですが、始めはどれだけ時間がかかってもいいので、図を書きしっかり考えて解答する習慣を身に付けましょう。
特に債権の解くためにはそれが必要です。
④について
民法第725条から「親族法」が始まります。
親族法はそんなに多く出題されないかなと、個人的には感じます。
ですが、一般常識的に知っておいた方がいいですし、相続関連の仕事をしようと考えている方であれば、深く勉強した方がいいです。
特別養子縁組が法改正あるので当然おさえる必要があります。
⑤について
「相続法」も法改正があります。
あと最近は相続法の問題の出題が以前より、なんとなく増えた気がします。
これも相続関連の仕事をしようと考えている方であれば深く勉強し、第882条から第1050条までしか条文がないので暗記しましょう。
実務に大きく役立ちます。というか知らないと実務が出来ません。
判例よりは条文からの出題傾向が高いと思います。
(記述式について)
民法の記述は2問で40点です。相当大きいですというか、解けるか解けないかが合否を決定すると言っても過言ではありません。
ですので、民法が行政書士試験において重要科目です。
完全正解でなくても部分点があります。
解答はだいたい、2つか3つの要素を書く必要があり、1つの要素が間違っていたり、抜けていた場合は、正解の要素に点をくれます。
ただ前回も書きましたが、この記述は採点者のさじ加減が存在します。
例えば、5指択一式の問題が難しい年で合格者数が少なくなると予想された場合、記述式の採点は甘くなり、逆に5指択一式の問題が簡単で合格者数が多くなると予想された場合は採点が辛口になる傾向があります。
学習方法としては、これも民法の勉強が2週くらい終わって、知識が少し付き始めた時期くらいから始めます。
記述の予想問題集を3、4冊買います。
問題集は民法が、50問くらいあり残りは民法です。
これで150~200問くらいの問題を準備できます。
そして解いていきます。
始めはなかなか書けないと思います。必ず間違えます。
でも繰り返し解答していくうちに、書きだすことに抵抗感がなくなります。
書きだすことが出来る知識は本物の知識です。
間違えれば解答をみて、確実に記憶に定着します。
出来れば、3週目くらいはこなすといいです。
2週目くらいになると書くことの抵抗感はなくなります。
1週目ですでに150問以上解いているからです。
これも行政法の記述と同じで、できれば8月までにはある程度仕上げて9月から始まる模擬試験で、練習試合をするとより本番に強くなります。
何事も、反復したトレーニングで慣れる事、頭と体に馴染ませることが大切です。
3週すると450~600問トレーニングしたということになります。
(まとめ)
・民法は登山みたいなものです。始めは苦しいですが、そのうち色んな景色が見えてきます。
・暗記でなく理解に努めることが大切です。
・身に付けると実生活に役に立ちます。当然、業務にもです。
・「信義則」を意識しながら理解に努めると吸収が早くなります。
・法改正された部分は徹底的に学習しましょう。
・条文、判例どちらの知識も必要です。余裕があれば条文全部とは言いませんが、重要な項目は覚えましょう。
・記述式は40点と5指択一式の10倍の点数で、勝敗を分けますので「これでもか!」くらい反復トレーニングを継続しましょう。
できれば1日3問とか。
※民法を初めて勉強する方は、頭が疲れて大変だと思います。
私もそうだったから、気持ちは痛いほど解ります。
ですが、努力を継続すると分かり始めるので楽しくなります。
楽しいと苦でなくなるので勉強もはかどり、民法を得意科目にすることが出来ます。
私も最終的には民法は得意科目になり、実際の試験でも76点中70点くらい取れて、合格の決定打になりました。
本番まで3ヶ月切ってますが頑張りましょう!心から応援してます!
次回は「行政書士試験合格術 その他」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。