ものづくり補助金について

こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!

もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。

今回は「ものづくり補助金」について書いていきます。

コロナウイルスの影響を受け今までのビジネススタイルだけでは限界を感じた事業者様や、時代の流れを読んでより顧客ニーズがある販売展開を考えても沢山いらっしゃると思います。

今後の展望として新しいことを考え、実践してていくうえで役に立つ補助金制度ですので少し長くなりますがお付き合いいただければと思います。

※(低感染リスク型ビジネス枠)は「小規模事業者持続化補助金」と「ものづくり補助金」どちらもあるので今後のブログに詳しく書きます。

「ものづくり補助金」のざっくりしたイメージとしては、応募申請して交付決定され10ケ月以内に経費の支払いをし、その間きちんと事業を行えば補助金をお渡ししますという内容です。
これも先払いして後で戻ってくるイメージです。

「ものづくり補助金」の概要とそれぞれの流れや必要書類をを書いていきます。

〇ものづくり補助金の概要

「ものづくり補助金」とは中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が、ものづくり・商業・サービス生産性の向上を目的として、新商品や新しいサービスの開発、導入といった経営革新のための設備投資に対して補助金です。

対象となる設備はITツールやサーバー(パソコン等の端末は対象外)、販売管理システム、在庫管理システムの業務系のシステムに転換するための設備投資等です。

飲食店や生産者、その他数多くの物販の方も利用されています。
ただ人気の高い補助金ですので、採択率も高くはないので入念な準備が必要です。

(補助対象者)

・3~5年計画で「付加価値額」年率3%、「経常利益」年率1%の向上を達成する内容であること。

・従業員の給与支給総額を年率1.5%以上に増額すること。

・従業員の給与を地域最低金額より30円以上高くすること。

※従業員の給与を上げることが前提です。

※申請締切前10か月以内に交付決定を受けた事業者は対象外です。

(補助事業)

・革新性が求められる事業

・サービス業の場合は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法でおこなうサービスであること。

・製造業の場合は、特定ものづくり技術分野の高度化を目的とする取組であること。

(補助上限)

①一般型(通常枠 1,000万円 補助率(中小1/2 小規模2/3)
新製品や新サービスの開発、生産プロセスの改善を目的とした設備投資など(通常枠)

②一般型(新特別枠)   1,000万円 補助率(一律 2/3) 
新型コロナウイルスの感染拡大に対応するためのビジネスモデルへの転換に必要な投資
(低感染リスク型ビジネス枠)

③グローバル展開型  3,000万円 補助率(中小1/2 小規模2/3)
海外事業の拡大を目的とした設備投資は上限額を上げてます。
例えば国内の本社と海外支店でグローバルな製品、サービスの開発と提供。
国内拠点で海外向け製品の開発等です。

④ビジネスモデル構築型 1億円 補助率 定額 10/10
中小企業30社以上の中小企業に対し革新性や持続性を持つビジネスモデルの構築や事業計画策定の支援プログラムの開発と提供を行う費用補助をする民間事業者に支援。
例えば、情報システムの設備の共同使用やワークショップの開催、ロボットの導入等です。

(設備投資の例)

①一般型(通常枠)
・システム構築費
・技術導入費
・クラウド利用費等

②一般型(新特別枠)
・広告宣伝費
・販売促進費等

③グローバル展開型 
・機械設置費
・技術導入費
・旅費等

④ビジネスモデル構築型
・人件費
・機械装置、システム構築費
・広報費等

〇申請からの流れ

①公募開始

②書類作成、応募申請

③審査

④交付の請求、決定

⑤事業実施、実績報告

⑥確定検査

⑦補助金の受領

①について

「ものづくり補助金」の公募期間は1~2ヶ月くらいなので、あらかじめ情報を収集しておいたほうがいいです。

②について

・ものづくり補助金申請書一式

・事業計画書

・システム開発費や導入費、機械設置費の補助を受ける場合は見積書等

・ホームページを持ってない会社は会社案内

③について

審査のポイントは3つです。

・技術面
・事業化面
・政策面

「技術面」ですが「革新的であるか」です。
具体的な判断基準としては他社が開発していない商品やサービスであるかです。
ありふれたものではいけません。

「事業化面」ですが上の技術の面ではなく、どの様に販売するか等の部分です。

「政策面」は環境に配慮しているかであったり、地域経済に効果があるか等です。

(加点項目)

・成長性加点
⇒経営革新計画を国や都道府県に承認されていること。
「経営革新計画」は企業が新事業に取り組み、経営の向上を目的に策定する経営計画書です。

・政策加点
⇒小規模事業者や設立5年以内の会社です。

・災害加点
⇒事業継続力強化計画の認定を受けている
「事業継続力強化計画」は自社の災害リスクを認識して、防災や減災の対策を策定し経済産業大臣が認定した計画のことです。

・賃上げ加点
⇒従業員の給与支給総額を年率1.5%以上に増額することや従業員の給与を地域最低金額より30円以上高くする最低基準よりさらに基準を上げることです。
賃上げ計画の表明書を作成します。

事業計画書は特に高い評価をもらえる様に作成する必要があります。

審査をする有識者の年齢は若い人からご高齢の方までバラバラですのでできるだけ分かりやすく売上予想の数字を図表を使うことをお勧めします。

④について

採択されたあと交付の請求をします。

⑤事業実施、実績報告

事業開始後に中間監査もあります。

補助の対象経費の支払いは、この事業開始期間に支払いを済ませておく必要があります。
既に支払っているものは対象にならないので注意しましょう。

事業終了後に「実績報告書」を作成し提出します。
経費の支払いや、事業の取り組みの報告です。既に提出している事業計画書より具体的な内容を求められることもあります。

⑥について

実績報告書を提出した後に「確定検査」があり交付額が決定されます。

取り組みや成果を説明し、場合によっては現地視察があります。

⑦について

決定した金額の補助金を受領します。
「ものづくり補助金」の場合はその後5年間は、毎年事業の状況を報告する必要があります。

〇必要書類のまとめ

・「事業計画書」

・「賃金引き上げ計画の表明書」

・「決算書」

・「加点資料」

「事業計画書」について

サイズはA4で10ページくらいです。新事業に取り組み、経営の向上を目的に策定する経営計画書です。できるだけ分かりやすく売上予想の数字を図表を使うことをお勧めします。
一番力を注いで下さい!

「賃金引き上げ計画の表明書」

賃金引き上げ計画を従業員と合意していることを示す書類です。

「決算書」

直近2年分の賃借対照表や損益計算書等です。

「加点資料」

・成長性加点
⇒経営革新計画承認書

・政策加点
⇒開業届や履歴事項全部証明書

・災害加点
⇒事業継続力強化計画認定書

・賃上げ加点
⇒特定適用事業所該当通知書

ものづくり補助金は以前からある補助金制度ですが、現在はコロナウイルスの特別枠でより活用できる機会が増えたと思います。

金額もやはり他の補助金と比較して額が大きいので、利用しない手はないと思います。

ただ複雑な手続きですし、狭き門でもあるので何かあればご相談下さい。

次回は「IT導入補助金」について書きますのでよろしくお願いします。