「LGBT ⑧」について

こんにちは。

福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

昨日、久留米は夜は雨の予報で、中秋の名月は諦めていたのですが、一瞬雲が無くなった瞬間があり、大きなオレンジ色の月を見ることが出来ました。

あまりにも綺麗で感動し、iPhoneで写真を撮りましたが、やっぱりなんか違います。

本格的なカメラだと肉眼に近い自然美の撮影が出来るかもしれませんが、スマホでは自然の美しさを切り取るのは少し無理がありました。

まあ、機種にもよりますが。

そんなこんなで、ブログの話に入ります。

ここまでLGBTの方々が家族に近い状態で生活が出来る対策を書いています。

おさらいは下記です。

①準婚姻契約

②任意後見契約

③死後事務委任契約

④養子縁組

⑤公正証書遺言

この5つの構成ですが、①~③がパートナーと家族に近い状態で生活が出来る様に、法的効力がある契約書を作成すると内容です。

④と⑤はパートナーに財産を残すための方法です。

前回までで③まで書いたので、今回は④の「養子縁組」について書きますので、宜しくお願い致します。

今回はLGBTの方々のための養子縁組を書きます。

以前、テレビ東京で「きのう何食べた?」というドラマがありました。

もともと原作は漫画で、ドラマ化され主演は、俳優の西島秀俊さんと、内野聖陽さんです。

設定として、2人は「ゲイ」で西島秀俊さんの職業は弁護士、内野聖陽さんの職業は美容師です。

2人で共同生活をし、西島秀俊さんが演じる役が料理が上手で色んな料理を作り、毎回2人で美味しく食べるというストーリーです。

役者の演技力も凄いので本当に面白いドラマでした。

このドラマで印象に残る回がありました。

この2人演じるゲイのカップルは、他のゲイのカップルの方々と交流を持ち、皆で外食したり、自宅に招いて食事を振舞ったりします。

そして、とある熟年カップルを自宅に招いて会話している時に、こんな話が出てきました。

ざっくりと書きます。

「じつは、カケイさん(西島さん)に相談したいことがありまして。実は私飲食店を数店舗経営してまして、それなりに資産があるのです。私が死んだ時、それをヨシ君(彼)に渡したいのです。実の親にはびた一文ともあげたくないのです。ですから、彼を私の養子にしたいと考えてます。」

カケイ さん(西島さん)は、こう答えます。
「それであれば、 ヨシ君(彼) に全財産を残すことが出来ます!」

私が、この回で印象的に感じたことは、「実の親には びた一文 ともあげたくないのです。」という台詞です。

この部分は特に物語で深堀はされませんでしたが、そのゲイの方のこれまで苦労された人生がチラリズムで見えます。

養子縁組をすることで、色々な思いを叶えることが出来るという内容でした。

少しドラマの解説の方向に進んでしまってるので、法律の内容に入ります。

(養子縁組について)

養子縁組とは、法律によって、血縁と同様の親子関係を発生される手続きです。

「二十歳に達した者は、養子をすることができる」 民法第792条

以前は「成年」でしたが、これが「二十歳」に改正されているのが注意点です。
おそらく成人年齢を民法改正で十八歳に引き下げるからだと思います。

養子縁組は2種類あります。

・普通養子

・特別養子

LGBTのカップルに関する養子は普通養子になると思うので、今回はこちらの方を書きます。

※特別養子は15歳未満の方を養子にすることだからです。

普通養子の条件は下記です。
今回はLGBTに関係してくる条件を抜粋します。

・養親が二十歳であること 民法第792条

・養子が養親の尊属・年長者でないこと 民法第793条

・後見人が被後見人の養親になる場合は、家庭裁判所の許可が必要 民法第794条

戸籍には男性の場合は「養子」、女性の場合は「養女」と記載されることになります。

(養子縁組による相続について)

養子も実子も法律上では等しく親子関係があるので、相続権も同じです。

そして普通養子の場合は、養親の相続権もあり、実親からの相続権もあります。

○代襲相続について

「代襲相続」とは、本来相続人になるはずだった方が、既にお亡くなりになった場合、その相続人になるはずだった子の子、つまり孫が相続できることです。

例えば、LGBTで以前は誰かと結婚していて、子供がいたとします。
LGBTは子供の頃に気づく方が多いですが、バイの場合は、男性と女性どちらも恋愛対象なのでありえます。
その後は配偶者とは離婚して、子供と一緒に暮らしていて、その後、運命のパートナーと出会い養子縁組をしたとします。

その後、子連れの養子がお亡くなりになった場合ですが、この場合は子は代襲相続はできません。

代襲相続は、養子縁組をした後に誕生した子供に適用されます。

この場合は、養子の子も養子にするという方法もあります。

家族の形態は現代は様々で、LGBT同士のカップルがいて、そのどちらかの子がいて、共同生活をし、凄く楽しい毎日で、みんな家族にしちゃえ!となる場合も十分に考えられるケースです。

○相続の割合について

LGBTで養子縁組をしている場合は、配偶者がいないと想定されるので、配偶者がいないケースの相続の割合を説明します。

①パートナーの養子とパートナーの養親の実親が健在の場合

この場合は亡くなったパートナーに親がいますが、養子のパートナーが全て相続します。
養子の子も養子となっている場合も、養子それぞれが相続し、養子以外の相続人はいません。

上で書いた「きのう何食べた?」の話もこれです。
親に一銭もあげたくないので、この手を使えばそれが叶えられます。

②パートナーの養子とその子も養子にしたが、既に亡くなり、養子にした子に子供がいて、パートナーの養親が健在の実親の場合

ちょっと、複雑に書いて申し訳ございませんですが、例としては下記です。

・パートナーを養子にする

・パートナーの子も養子にする

・パートナーの子に子(孫にあたる)がいる
養子の後にできた設定です。

・パートナーとパートナーの子が、例えば交通事故などで、2人ともお亡くなりになる

・孫は存在する

・実親も健在

この場合は、代襲相続で孫に全て財産がいきます。

※要点としては、配偶者がいない場合は子や孫が相続するということです。

(まとめ)

今回はLGBTの養子縁組について書きました。

パートナーに相続させる一つの方法です。

養子にすることで、法律上の家族関係を築くことができ、配偶者がいない場合は、財産を養子が相続できます。

この場合は、他の親族には相続権がないので、以前書いた「遺留分」の請求もありません。

養子縁組はお勧めです。

ちょっと前に、福岡市の「パートナーシップ宣誓制度」の内容を書きましたが、その対象者の中に、「双方の関係が近親者でないこと」という条件がありましたが、注意書きで、「養子縁組は除きます。」と記載されてます。

これってつまり、社会的にもLGBTのカップルの養子縁組が許容されているということです。
個人的な感覚では、ちょっと推奨してる感も否めません。

ですので、お勧めです。

次回は相続絡みで、「公正証書遺言」について書きます。

次回は「LGBT ⑨」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。