「LGBT ⑤」について

こんにちは。

福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

なんか台風が過ぎ去ってから涼しくなりましたね。

それまでは、夏の残りのかすかな気配がありましたが、もう完全に秋って感じです。

この季節の衣替えが楽しいです。夏は基本オフではTシャツですが、秋はコーディネートの幅が広がるので、それが楽しいです。

では、ブログの話に戻ります。

前回からLGBTの方々が家族に近い状態で生活が出来る対策を書いています。

おさらいは下記です。

①準婚姻契約

②任意後見契約

③死後事務委任契約

④養子縁組

⑤公正証書遺言

前回は①の準婚姻契約を書いたので、今回は②の「任意後見契約」について書きますので、宜しくお願い致します。

(任意後見契約について)

自分が年を取ると、少しずつ物事を判断する能力が衰えていき、最終的に認知症の状態になる可能性があります。

そうなると自分の財産の管理ができなくなったり、何かの契約を締結することが出来なくなります。

そんな時自分の信頼できるパートナーにあらかじめ、自分がそういう状態になった時に代わりに財産管理や生活に必要な契約締結をしてもらうことを頼んでおくと、安心して老後を迎えることができます。

その契約が「任意後見」の契約で、パートナーが「任意後見人」として、財産管理や介護、生活面の手配をします。

準婚姻契約は疑似結婚に近い状態の契約を作り出し、任意後見契約は老後の2人の助け合いを「契約」という形で作り上げます。

将来、認知症などで判断能力がなくなってしまった後に、慌てて成年後見制度を利用しようとしても、後見の申立ができるのは、配偶者や4親等以内の親族と民法で定められています。 民法第7条

あと、相手方の親族に理解がない場合は、パートナーが後見人になることが難しくなります。
残念ながら、理解を持ってもらえないケースは割とあります。

ですので、判断能力があるうちに、将来自分が判断能力が不十分になった時に、いつも傍にいるパートナーに後見人になってもらい、代理で色んな手続きを行ってもらうことを、あらかじめ契約しておくものが「任意後見契約」の目的です。

任意後見契約は公正証書によっていなければならないと法律で定められていますので、公証役場で作成します。

任意後見契約に関する法律 第3条

以前ブログを書いたので、こちらを参考にして下さい。

公正証書を作成した後は法務局で登記を行い、2人の契約関係は国に登録されます。

登記されることで2人に法的関係を作り上げることが出来ます。

(任意後見監督人について)

パートナーの一方の判断能力が衰えた時から、もう片方のパートナーの任意後見人としての仕事が始まります。

その場合、任意後見人や家族が「家庭裁判所」に対して、任意後見の事務を開始したいので、「任意後見監督人」を選任してほしいと申立をします。

そうすると家庭裁判所が任意後見人を監督する「任意後見監督人」を選任します。

「任意後見監督人」は任意後見人が適正な仕事をしているかをチェックしたりするので、万が一信頼できるパートナーに頼んだが、財産を使い込んでいたとかの不正を防ぐことができます。そうあって欲しくありませんが。

任意後見人が不正などを行っていた場合は、本人や家族、任意後見監督人の請求により解任することができます。

(契約の内容)

契約内容は様々ですが代表的なものは下記です。

①財産管理

②介護や生活面の手配

①について

預貯金や不動産の管理、税金の支払い等がメインです。任意後見契約の内容によっては不動産を売却し、生活費や貯蓄に回すことが出来ます。

財産の管理は外部に任せることも出来ますし、そういうのが得意なパートナーであれば2人の老後のための舵取りをすることも出来ます。

当然、権利の濫用はできません。解任されます。

パートナー同士で任意後見契約をせず、片方が認知症になり、家族の申立で後見人が全くの他人になった場合、後見人は意向を組んでくれないこともあるので、財産の処分等がとても難しくなります。

家族信託を利用される方も、これが理由の方が多いです。

ずっと人生を共に歩いていくと決めているパートナーであれば、将来のため任意後見契約をすると、とても安心だと思います。

②について

急な病院への搬送があった際「ご家族様ですか?」という質問が、ほぼほぼ出ます。

病院は面会や署名については、個人情報保護のもと、家族や親族に限定するローカルルールが存在するからです。

パートナーの方は法律上では他人という事なので、色々不便なことが出てきます。

実際、家族と疎遠になっている方も割と多かったりします。

その際、正式な契約が交わされていることで、手続きを代行出来たりします。

前回も書きましたが、「医療・介護関係事業者における個人情報と適切な取扱いのためのガイダンス」には、家族等への病状説明に関しては「親族及びこれに準ずる者を説明の対象に加える」と記載していて、親族に限定していません。

介護の面に関しても、後見人であれば色んな手続きの代行が出来ます。

通常の後見人は、実際の介護はしませんが、パートナーが後見人になった場合は、身の回りのサポートと手続きの代行の一連の流れを行うことが多いと思いますので、まさにスーパー後見人となります。

(まとめ)

今回はLGBTの任意後見契約について書きました。

もしもの時の手続きを、一番信頼しているパートナーに任せるための契約です。

「家族」という言葉ですが、法律上では配偶者、子、直系尊属、親族などになります。

ですが、「家族」の言葉の持つ意味合いとしては、一緒に生活を共にする、人生を共に歩むというパーソナルな部分も含まれると思います。

全く話が違いますが、私は法律上「物」とされているペットの犬を家族と当然思ってます。

ちょっと話が逸れましたが、そういう意味の家族としてパートナーがお互い、将来のために任意後見契約をすることで、安心感を得ることができますし、より絆が深まるのではないでしょうか。

次は「死後事務委任契約」について書きますので、よろしくお願いいたします。

次回は「LGBT ⑥」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。