こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
今はずっとLGBTについてブログを書いています。
この前も書きましたが、現在、福岡県がパートナーシップ宣誓制度の導入を検討中で、もしそれが実現すると、福岡県は性的マイノリティの方々にとって、とても住みやすい都市になります。
福岡県はやはり大きな都市ですので人口も当然多く、比例して様々な価値観が存在します。
それを尊重し全て人が快適に生活できる都市を目指すのは当然のことです。
ですが、やはりパートナーシップ宣誓制度は法律上の効果を発生させることは出来ません。
愛し合って2人で人生を歩んでいこうと考えても、婚姻は出来ませんし、相続権もありません。
親族と同じ権利もありません。
それに対する対策が下記です。
①準婚姻契約
②任意後見契約
③死後事務委任契約
④養子縁組
⑤公正証書遺言
1つ1つ解説していきます。
今回は①の「準婚姻契約」について書きます。
(準婚姻契約について)
「準婚姻契約」は「同性パートナーシップ合意契約」とも呼ばれます。
通常、婚姻届を提出し結婚すると法的な夫婦となり、お互い夫婦間の義務が発生します。
例えば、民法752条では「同居、協力、扶助の義務」が規定されていますし、民法762条では「夫婦間の財産の帰属」が規定されています。
また離婚となった場合は、慰謝料の請求や財産分与を行うことも定められてます。 民法768条
そこで、法律婚と同様の権利や義務が発生するように、事前にお互い契約をすることが「準婚姻契約」です。
この契約をすることで、カップル同士だけでなく、第3者にも関係や契約内容を証明することが出来ます。
作成に関しては第3者にも証明するため、公正証書で作成した方がいいです。
大切な契約の多くは公正証書で作成されます。
公正証書の利点としては、「強制力」です。
契約書に記載した義務が不履行であれば、離婚と同じように慰謝料の請求を内容に盛り込むことができます。
そして、「強制執行認諾約款付公正証書」を作成すると、裁判をすることなく財産の差押も可能です。
「準婚姻契約」を作成するタイミングでは、そんなダークなことはイメージしないと思いますが、結婚と同様にカップルには破局の一面も存在するということです。
以前ブログを書いたので、こちらを参考にされて下さい。
(準婚姻契約書の内容)
準婚姻契約書の内容は大きく下記です。
①権利義務
②財産関係
③相続
④子
⑤医療行為
⑥解除
①について
契約書の中身に、同居、協力、扶助の義務、貞操を守る義務や、生活費の分担、違反した場合の取り決めを記載します。
一般的に多いのは下記です。
・貞操義務
・家事の分担について
・生活費について
・違反した場合の取り決め
ちょっとジャンルが違いますが、某ドラマにあった「契約結婚」に似ている部分もありますので。
②について
法律婚では婚姻後の財産は共有となりますが、法律婚ではないので財産の取り決めを記載します。
一般的に多いのは下記です。
・2人で作った財産は共有にするか固有にするかどうか
・2人の収支による家計簿の作成、将来のための貯蓄をどうするか
・不動産の購入の際、所有者を共有にするかどうか
・マンションのローンなどの負担をどうするか
③について
後で詳しく書きますが、パートナーに相続させるための遺言書を作成するかどうかなどを記載します。
一般的に多いのは下記です。
・遺言書の作成の取り決め
・相続は法定相続人にどれくらい渡すかの取り決め
・葬儀やお墓などの希望の取り決め
④について
これも後で詳しく書きますが、子供の扶養や教育について記載します。
一般的に多いのは下記です。
・親権を持たない方のパートナーの扶養義務
・親権を持たない方のパートナーの決定権
⑤について
将来の医療行為や療養監護に関する内容を記載します。
・お互いの介護者をパートナーに指定する
・医療事務の委任
・医療の意思表示書の作成に関して
※「医療の意思表示書」とは通常病院の面会や署名は家族に限定されてしまいますが、代理権限や委任事項が記載された書面があることで解決できます。
「医療のキーパーソン」をパートナーに指定するということです。
ちなみに「医療・介護関係事業者における個人情報と適切な取扱いのためのガイダンス」には、家族等への病状説明に関しては「親族及びこれに準ずる者を説明の対象に加える」と記載していて、親族に限定していません。
⑥について
契約違反の場合の取り決めを記載します。決めるのも嫌な気持ちになると思いますが。
一般的に多いのは下記です。
・合意による契約解除
・財産の清算方法
・慰謝料に関すること
(まとめ)
今回からパートナーが家族に近いポジションで生活するために必要な手続きについて書き始めました。
種類は意外と沢山あります。
今回の契約書は婚姻の形に近づけるためのものです。公正証書にすることで、対外的な見え方も変わります。
次回は任意後見契約について書きます。
次回は「LGBT ⑤」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。