遺産分割協議書について

こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!

もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。

前回の記事の続きですが相続人の調査が終わりましたら、被相続人と相続人の関係が分かる相続関係説明図を作成します。
(不動産登記の時等に必要です)

そして、遺産分割協議書を作成します。

〇遺産分割協議書とは

日本の相続のシステムは遺言が残っていれば内容に従った相続が行われ、遺言が無かった場合は法律に従った法定相続が行われます。

ただ現在日本では遺言による相続がまだ浸透してなく、多くが法定相続です。
そこでトラブルを避けるため相続人全員が同意した証明として遺産分割協議書を作成し全相続人が署名をします。
(これも不動産登記の時等に必要です)

〇遺産分割協議書の留意点

遺産分割協議書を作成する際、人は様々な思いや考え方があり、例えば「出来れば母親に多く財産を渡したい。親の介護をしてきたのは自分だから多く財産を受け取りたい。不動産でなく現金を受け取りたい。」等様々です。

各相続人に考えや思いがあるので、それを話し合い全員で合意し1つにまとめる作業です。
大切なことは自分の主張だけでなく、他の人のこともきちんと考えてあげる思いやりを持つことだと思います。

自由に先の事を考えずに作成してしまうと、税金が予想以上に高くなったり不測のトラブルが発生する可能性がありますので慎重に作成する必要があります。

〇遺産分割協議書の書き方のルール(上から書いていく順番)

①タイトル

「遺産分割協議書」のタイトルを一番上に入れます。

②被相続人

被相続人の、氏名、死亡年月日、本籍地、最後の住所を記載します。

※注意点
・数次相続(相続手続き完了前に2回以上相続が発生している場合)
例えば10年前に父が亡くなり、相続の手続きをしていない状態で最近母が亡くなり相続が開始された場合のことです。
この場合は父が亡くなった時に相続が発生していて、その後母が亡くなりまた相続が発生している二重の状態なので、被相続人の下に「相続人兼被相続人」と記載し氏名、死亡年月日、本籍地、最後の住所を記載します。

これは法務局の方も「よく忘れている人がいるから書いて下さい」と常に念を押す重要な部分です。

③遺産分割協議書の経緯

(書き方の例)
「被相続人〇〇は〇〇年〇〇月〇〇日に逝去した。よって被相続人の長男〇〇(以下甲という。)、長女〇〇(以下乙という。)の全員で遺産分割協議書を行い、被相続人〇〇の遺産につき、以下の通りに分割することに合意した。」

④遺産

不動産や銀行預金を記載します。不動産は登記簿謄本通りに地番や地目地積を記載します。
1ページで収まらないことも多いので2ページに続きを書きます。

⑤各相続人の遺産取得分

・甲は下記の不動産取得する
(不動産の内容)

・乙は下記の預金を取得する
(銀行預金の内容)

⑥協議成立の文言

(書き方の例)
「上記協議の成立を証するために本書〇通を作成し、各署名捺印して各自1通保管する。」

⑦相続人の住所、氏名

各相続人の住所氏名を書く空白を作ります。実印を押すので少しスペースの余白を作った方がいいです。
不備があった時の訂正のために、実印は氏名の両サイドにあると安心です。

⑧作成のポイント

1枚で収まらないことが多いのでA3で作成してもいいです。A3でも収まらない場合は複数枚の作成になります。
この時はページの境目にまたがるようにして契印します。相続人全員の実印が必要です。

私は個人的に大切な書類なので綺麗なほうがいいと考えてますので、製本テープを使って袋とじにして契印を押すように作成します。
相続人にとってはこの「遺産分割協議書」は私たちが思っている以上の思いが込められている場合も多いので、やはり美しく作りたいです。

〇遺産分割協議書の作成後

作成後はこれで必要書類が揃ったので不動産の相続登記等を行います。

戸籍を収集した時点で「法定相続情報証明制度」を利用することをお勧めします。

この制度は平成29年5月29日から始まった制度です。

今までは相続手続きを行う際、窓口に相続書類を大量に提出する必要がありましたが、
始めに法務局に必要な書類を提出すると、法務局の登記官がその書類を確認し証明をしてくれます。

「法定相続情報一覧図」の写しが発行され、相続登記、預金の解約、車の名義変更等の様々な窓口での手続きの際にとっても身軽になります。

分厚い書類の束が1枚になるのは大変便利です!

不動産の登記にも活用できますので、「法定相続情報一覧図」と「遺産分割協議書」でスピーディーに法務局で手続きを行うことが出来ます。

〇まとめ

先程も書いたことで重複しますが、遺産分割協議書を作成する際、人には様々な思いや考え方があります。
やはり大切なことは自分の主張だけでなく、他の人のこともきちんと考えてあげる思いやりを持つことです。

遺産分割の方法には、現物分割、換価分割、代償分割といった方法があるのでそれを上手く使った分割をすることと、相手の事情を考慮し思いやりを持って進めていくこと、相続税等も考慮し慎重に作成することが大切だと私は思います。
ケース別の作成内容はまた別の機会に沢山書いていきます。

この回までは、「相続」に関連する内容を書いてきました。
私なりに思い入れがあるジャンルであることと、これからの時代に必ず必要な知識や考え方だと思い長々書いてしまいました。

お父様やお母様は、今までの日本を作ってくださった方々です。
お父様やお母様にも長い長い人生があり、思いがあります。
家族に対する思いは特に強いでしょう。


遺産分割で揉めるのは悲しいことです。
最善のご提案をしますので何かあればご相談下さい。

次回からは法人様向けに「補助金申請」について書きます。
まずは「小規模事業者持続化補助金」について書きます。コロナで大変な事業様は多いと思います。
全力でブログ書きますので、よろしくお願いします。