「定款作成⑤」について

こんにちは。

福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!

もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。

今回は前回の続きで「定款作成⑤」についてブログを書きます。

長丁場でしたが今回が最終回ですので、よろしくお願いします。

(作成のポイント)

作成のポイントは下記です。

①商号

②事業目的

③本店所在地

④公告方法

⑤資本金

⑥事業年度

⑦発起人

⑧取締役

⑨発行可能株式総数

⑩株式の譲渡

⑪取締役会設置の有無

⑫その他

⑨発行可能株式総数まで書いたので、⑨から⑫まで書きます。

⑩株式の譲渡について

「株式の譲渡」についてですが、株式は自由に転売できるイメージがありますが、実際は株式の譲渡に制限をかけている会社が多いです。

理由としては、身内で会社を作りたいや、よく知らない人が株主になるとやりづらい等様々です。

たしかに、顔を知っている役員同士ですと考え方や人間性をある程度知っているので、経営の方向性を決める株主総会でも安心して議決できますが、全く知らない人がコロコロ変わると経営が安定しません。

ですので、中小企業の多くは株式の譲渡に譲渡に制限をかけた「非公開会社」にします。

株式の譲渡制限のメリットは下記です。

・取締役会の設置義務がない

・取締役の任期を延長できる

・取締役を株主に限定することができる

「取締役会の設置義務がない」について

これは次の⑪で書きますが、株式の譲渡制限を設けない「公開会社」は取締役会の設置が必要です。

取締役は最低3人以上必要ですので小規模の会社は公開会社にすることはできません。

取締役会を設置する場合は、監査役、会計参与の設置も必要になります。

「取締役の任期を延長できる」について

会社法で、取締役の任期は「2年」と定められていますが、公開会社より制約が少ない「非公開会社」は、定款に定めることで「10年」に伸長できます。

同じ取締役が短期間でなく、長いスパンで経営の舵を取るので長期展望の経営戦略などを立てやすいです。

「取締役を株主に限定することができる」について

基本的に「会社法」の考え方としては、株式会社は「所有と経営の分離」の概念があり、株主以外からも広く経営者を募り、会社の発展をさせる方針です。

ですので、取締役を株主に限定する定款の効力を否定しています。

ですが、株式の譲渡制限をしている「非公開会社」は定款に定めることで効力を認められています。

⑪取締役会設置の有無について

「取締役会」の設置は「株式の譲渡制限」を設けない公開会社は必須です。
※「監査役会設置会社」と「委員会設置会社」も必要です。

「取締役会」は3人以上の取締役で構成される会社経営の意思決定機関です。

つまり「取締役会」を設置するなら3人以上必要で、それ以外は3人未満で大丈夫です。

「公開会社」「監査役会設置会社」「委員会設置会社」は取締役会を設置しないといけません。
取締役会を設置するとしっかりとした意思決定が出来、対外的にも信用度が上がります。

ですが、監査役、会計参与の設置も必要になるので、手間がかかりますので基本的に規模の大きい会社向きです。

上場企業に関しては取締役会の設置が義務づけられているため、将来的に上場を視野に入れているなどの場合は、基本的に取締役会の設置が必要です。

現状は中小企業の場合は、取締役会を設置してない会社が多いです。

取締役会は最低3ヶ月に1回は行う必要があります。

取締役会を設置することで、迅速な意思決定ができたり、対外的な信用性が向上します。

取締役会で行う内容は下記です。

・業務執行の決定

・取締役の監督

・代表取締役の選定、解職

取締役で必ず決定しないといけない内容は下記です。

・需要な財産の処分、譲受け

・支配人やその他重要な使用人の選定、解任

・支店やその他重要な組織の設置、変更、廃止

・定款の定めに基づく取締役の責任の免除

・その他重要事項の決定

⑫その他について

⑪に関連する内容ですが、取締役会を設置する際に知っておいた方がいい機関があります。

基本、大きな会社のお話なので、ご参考程度に。

・「監査役会設置会社」

会社の業務や会計を監査する役割で、会社が上場する場合は必要です。

実際は設立当時から設置することはあまりないです。

監査役会を設置する場合は取締役会も設置します。

・「委員会設置会社」

指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置した会社です。

ですが基本大企業は導入してますが、設立時に設置することはあまりないです。

・「会計参与」

取締役会を設置する場合は、監査役の設置も必要です。

ですが、非公開会社は会計参与を設置すれば監査役の設置義務はありません。

公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人が会計参与になります。 会社法 第333条

(まとめ)

今回は5回に渡って長々と「定款作成」について書きました。

定款は会社の基本的なルール、つまり法律です。

きちんと運営していくため内容をしっかり考え作成する必要があります。

そして、会社の法律の定款は根底に「会社法」という法律があります。

会社法の趣旨を汲み取り作成していく必要があります。

実際私もこのブログを書いているときは念のため会社法の条文を片手に書きました。

色んな想いで設立される会社ですので、今後のご発展のため是非ご参考にして下さい。

あらかじめ、税の事は税理士の先生に、登記のことは司法書士の先生にご相談することをお勧めします。

次回は「行政書士試験合格術①」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。