「建設業 許可」について

こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。

このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
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今回は前回の続きで「建設業 許可」についてブログを書きます。

一人親方が大きな仕事を取ってきた場合は、「建設業許可」が必要になります。

そもそも「建設業許可」が何故必要かというと、建設業とは完成品を売買するものではなく1から作っていくものです。

例えば、電化製品とか既に完成している物を購入する場合、完成品を見て購入を判断します。
しかし、建設は1から作るので自分の希望を叶えられるメリットはありますが、完成品を事前に見れないということになります。

完成まで時間と多額の費用がかかるので心配で仕方がないです。

そういう消費者の不安を保護し、かつ適正な施行と建設業の健全な発展促進を目的として、建設業を営むときは許可を取得しなければなりません。

一人親方も建設業界にいる以上、「許可」の内容をしっかり理解しておく必要があります。
理解さえできれば申請に必要な書類の意味も解ってきます。
ですので、今回少し長くなりますが、ご勘弁下さい。

(許可が不必要な工事)

許可が必要でない工事は「軽微な工事」と呼ばれます。 建設業法 第3条

ですので「軽微な工事」以外は許可が必要です。

「軽微な工事」の基準

・建築一式工事(建物の新築、増築など)

①一件の請負代金が1,500万円未満

②木造住宅で延べ面積が150㎡未満(面積の1/2が居住用)
※請負代金にかかわらずです。

・建築一式工事以外

一件の請負代金が500万円未満

判断基準

「分割発注の場合」

例:請負代金が600万円で2回に分けて300万円ずつで発注の場合

1つの建設工事の金額の判断なので「軽微な工事」にはなりません。
追加工事や期間を空けてからの工事も同様です。

例:注文者が材料を準備していた。材料費300万円、請負代金300万円の場合

建設工事の金額は材料費も含みますので「軽微な工事」にはなりません。

違反した場合は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金になります。 建設業法 第47条

「その他の注意事項」

軽微な工事でも登録は必要な業種はあります。

・浄化槽の工事、管理

・解体工事

・電気工事

(建設業許可の種類)

建築業の許可は2つあります。

①国土交通大臣の許可:2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合

②都道府県知事の許可:1つの都道府県のみ営業所を設ける場合

福岡県と熊本県に営業所を設ける場合は国土交通大臣許可を取得します。

「営業所」の意味合いとしては、本店や支店、見積もりや契約締結を行う事務所です。

工事の現場や営業範囲はその都道府県に限定されず全国対応可能です。

「特定建設業と一般建設業」

建設工事の適正な施行を確保するためには下請け業者の経営の安定は不可欠です。
下請け業者を使う機会が多い場合、下請け業者を保護するため「特定建設業」があります。

特定建設業のメリット

・特定建設業許可

発注者から「直接請け負った工事」を3,000万円以上下請けに出すことができます。
建築一式工事は4,500万円まで出せます。

ちなみに一般建設業許可の場合は3,000万円までしか出せません。

※「直接請け負った工事」は発注者から直接工事を請け負ったという意味なので、
下請け業者が孫請け業者に出す場合は必要ありません。

(建設業許可の要件)

①経営業務に管理責任者がいる

②営業所に専任技術者がいる

③財産的基礎がある

④営業所がある

⑤欠格要件に該当しない

①について

建設業は長期間に渡って工事をするので工事管理を適正に行うための経営のプロが必要です。

「法人であれば常勤の役員のうち1人が、個人事業であれば本人又は支配人が建設業に関して一定の経営経験を有していること」となっています。

「経営経験」は営業方針を決めたり、契約したり、現場に材料や下請け業者を手配したり等、舵取りの経験となりますので、現場監督などは含まれません。
「一定の経験」は最低5年になります。

経験年数について詳しく書きます。

・許可を受けようとする建設業に関して、5年以上

同じ業種での5年となりますので、電気工事は5年だけど電気通信工事は3年だった場合は、電気通信工事に関しては経験が満たないことになります。

許可を受けようとする建設業以外の建設業に関して、7年以上

他の業種と合わせて7年以上あれば、まあ大丈夫でしょうという判断です。つまり建設業界の経営経験が7年以上あればいいということです。

・具体的な権限委譲を受けた執行役員として5年以上

取締役会から工事部門の業務執行を任された経験が5年以上ある場合等です。

・個人事業主の場合、事業を引き継ぐ者が7年以上補佐経験を有する場合

一人親方の息子と2人で事業を行ってきて、父が引退し息子に跡を継いでもらう場合は、息子が7年以上補佐の経験をしていれば大丈夫です。

②について

専任技術者とは、「その営業に常勤して、専らその業務に従事する者」を言います。
工事に問題がないか、適正に施行されているかどうかをチェックする技術上の責任者です。

「一定の技術を持っている人が、営業所に常勤して専らその業務に従事していること」が要件です。

高い技術と知識が必要ですので専任技術者になるためには下記を満たす必要があります。

・一定以上の実務経験者

・国家資格者等

まず、「一定以上の実務経験者」ですが、許可を受けようとする業種に10年の実務経験が必要になります。
高校や大学、高等専門学校の所定学科を卒業していると期間は短縮されます。

高卒の場合は5年、大卒・高専卒の場合は3年です。

経験期間が足りない場合は資格を取得すれば問題ありません。
資格は職種で様々で、建築士、技術士などの国家資格や職業能力開発促進法に基づく技能検定などがあります。

「特定建設業の専任技術者の要件」

・1級の国家資格者

・一般建設業の専任技術者の要件を満たしたうえで2年以上の指導監督的実務経験を有する者
※この7つでは認められてません。ですので基本的には国家資格が必要になってしまいます。

・土木一式工事
・建築一式工事
・電気工事
・管工事
・鋼構造物工事
・ほ装工事
・造園工事

③について

工事を行うためには、材料や職人の手配が必要になりますので、必要最低限の資金を確保しているかも要件となります。

いずれかを満たす必要があります。

・自己資金が500万円以上ある

・資金調達能力が500万円以上ある
500万円以上の資金を準備できるか確認するため、融資可能証明書や残高証明書の提出をします。

※これは一般建設業の場合で特定建設業はもっとハードルが高いです。内容が細かくなるので別の機会のブログに書きます。

④について

営業所に関しては、許可の要件として明確に定められているわけではありませんが、建設業法は営業所の存在を前提にしてますので実態の有無の確認はあります。
電話、机、事務機器がある事務スペースや応接スペースなどです。
写真の提出を求める行政庁が多いです。

話が全く変わりますが、行政書士の登録の際も事務所の実態の有無の確認があります。

重要な仕事をする場合は事務所があることが前提というのは当たり前のことなんですね。

⑤について

許可を出すのが行政である以上、法律上好ましくない人には許可を出すことができませんので、欠格要件があります。

建設業法の第7条と第8条に詳しく明記されてますが、例としては下記です。

・成年被後見人や破産者

・暴力団の構成員

・過去に取消処分を受けたり、営業禁止処分を受けて禁止期間を経過してない場合等

(まとめ)

今回は一人親方には必要ない部分もあったと思いますが、全体像を把握することは大切です。

「建設業」は多くの費用と時間がかかる大がかりなものなので、許可に関しても様々な要件があります。
何故その要件が存在するかを理解さえすれば沢山ある提出書類の意味合いも理解できます。

そうなることで、いざ自分で申請する際に楽になりますし、理解しているからこそミスも少なくなると思います。

面倒な申請とはそれだけ重要な仕事を今から自分がやっていく事の証です。
そんな大きな、社会のためになり形を残せる仕事をやるってカッコイイですよね。

では、次回は実際の申請に関する書類や流れについてご案内します。

次回は「建設業 申請」についてブログを書きますのでよろしくお願いします。