こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。
今回は前回の続きで「定款作成④」についてブログを書きます。
細かいところも書いていくので長丁場になりますが、よろしくお願いします。
(作成のポイント)
作成のポイントは下記です。
①商号
②事業目的
③本店所在地
④公告方法
⑤資本金
⑥事業年度
⑦発起人
⑧取締役
⑨発行可能株式総数
⑩株式の譲渡
⑪取締役会設置の有無
⑫その他
⑥事業年度まで書いたので、⑦から⑨まで書いて続きは次回に書きます。
⑦発起人について
「発起人」とは、会社を設立する際に、資本金の出資、定款作成を行い会社設立の手続きをする人です。
発起人は株式を最低1株以上引き受けるので、株主になります。
発起人の仕事は下記です。
・出資をする
・会社の重要事項を決定する
・定款の作成や認証などの設立の手続きをする
・会社設立時の「取締役」の選任をする。
※自分自身が取締役になることも出来ます。
会社の設立手続きのリーダーでもあるので責任もあります。
・設立が出来なかった場合の後始末をする。
・手続きの役割を怠り、会社に損害が出た場合は責任をとります。
・不足額は発起人が支払う責任があります。
発起人の資格は制限がなく、法人や未成年者もなれます。複数人でも構いません。
未成年者の場合は、定款の認証に印鑑証明書の提出が必要ですので、15歳未満の未成年者は難しいです。
15歳以上は親権者の同意書があれば手続きが出来ます。
※注意点としては、発起人が複数人いると会社の重要事項の決定が意見が割れたりする可能性もあります。
あと、会社の重要事項を決定する「株主総会」では、議決権の多数決となりますので、株式の所有割合もよく話合った方がいいです。
⑧取締役について
「取締役」に関しては任期と人数が重要です。
まず、「取締役の任期」でポイントになるのが、「公開会社と非公開会社どちらにするか」です!
「公開会社」とは、株式の譲渡制限がない会社で不特定多数の株主が存在します。
ですので、株主や債権者が多くなり、会社の規模も大きくなります。
だからこそ、会社法の色んな制約を受けて、制限や監視が強まります。
「非公開会社」とは、株式の譲渡に制限があるこじんまりとした会社です。
「公開会社」と比べると制約が少ないので自由度は高いです。
会社法で、取締役の任期は「2年」と定められていますが、公開会社より制約が少ない「非公開会社」は、定款に定めることで「10年」に伸長できます。
「取締役の人数」でポイントになるのが、「取締役会設置会社と取締役会非設置会社どちらにするか」です!
「取締役会」は3人以上の取締役で構成される会社経営の意思決定機関です。
つまり「取締役会」を設置するなら3人以上必要で、それ以外は3人未満で大丈夫です。
「公開会社」「監査役会設置会社」「委員会設置会社」は取締役会を設置しないといけません。
取締役会を設置するとしっかりとした意思決定が出来、対外的にも信用度が上がります。
ですが、監査役、会計参与の設置も必要になるので、手間がかかりますので基本的に規模の大きい会社向きです。
※「監査役会設置会社」「委員会設置会社」「会計参与」などは⑫その他で詳しく書きます。
「非公開会社」の良さそうに感じますが、任期が10年の場合ですと、役員同士で対立があったり、その取締役の経営手腕に問題があるときに、そう簡単に解任も当然できないので、慎重に決定した方がいいです。
⑨発行可能株式総数について
「発行可能株式総数」とは、会社が自由に発行できる株式の総数です。
発行可能株式総数を決める理由は主に2つあります。
・株主の保護
・資金調達を迅速にするため
「株主の保護」ですが、発行できる株式に上限がないと取締役会が自由に発行してしまうことも考えられます。
そうすると株式の数が多いと、1つの株式の価値が下がりますので、すでに株を所有する株主に不利益が生じます。
株の保有率は議決権にも影響が出るので、株の数が増えることで議決権を失う株主も出てきます。
「資金調達を迅速にするため」ですが、発行可能株式総数のうち、まだ発行されていない株式は取締役会の決議で可能ですので、「株主総会」の決議を不要とします。
そうすると時間がかかる株主総会をしなくとも未発行があれば、迅速に取締役会で決議し資金を早く調達できます。
「発行可能株式総数」の決め方のポイントは下記です。
・株式の譲渡制限を設ける会社は、発行可能株式総数に決まりはないです。
・1株あたりは1~5万円に徹底するのが一般的です。
・株式の譲渡制限を設けない場合は、設立時に発行する株式数は、発行可能株式総数の1/4を下回ることができないので、例えば、設立時の株式が500株だった場合は、発行可能株式総数は2,000株以上となります。
・計算方法
「設立時の株式数」
資本金÷1株あたりの株式の価格
(資本金が500万円だった場合に、1株あたりの株式の価格が10,000万円ですと500株になります。)
「発行可能株式総数」
設立時の株式数×4
・これらの内容は設立までに発起人全員の同意が必要です。
(まとめ)
一般的な中小企業の場合は、株式の譲渡制限を設定する「非公開会社」で設立することが多いです。
その場合の制約は少ないですが、株式の譲渡制限を設定しない「公開会社」は、取締役会の設置や発行可能株式総数のルールがあるのが、今回のポイントです。
特に発行可能株式総数の変更を後からするとなると、株主総会の特別決議が必要だったりして、時間や費用がかかるので、将来の展望も踏まえて、設立時の株式数を決めた方がいいです。
次回が最後です。
次回は「定款作成⑤」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。