こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
このブログではどなたの身近にも起きうる可能性がある、相続、申請、トラブルなど日々の問題や心配事を解決するためのお役立ちアドバイスを更新していきます!
もっとこんなことを知りたい!や具体的な事案などあれば、コメント・メールお待ちしております。
今回は前回の続きで「農地転用 ②」について書きます。
前回のブログで「農地転用」のイメージは持って頂けたかと思います。
今回は申請するうえでの区分や区域の事を書き、次回から具体的な転用申請の基準や必要書類について書いていきます。
前提として、農地転用を申請するうえで、土地の状態の確認が必須です。
ポイントは2つあります。
〇農地区分
〇区域
まず、農地の区分の種類を書きます。
(農地区分について)
農地は下記のように区分されます。
1 農用地区域
2 甲種農地
3 第一種農地
4 第二種農地
5 第三種農地
1について
「農用地区域」は農業振興地域の整備計画で定められた範囲の中にある農地で、原則は「農地転用は不可」です。
2について
「甲種農地」は土地改良事業等から8年経過していない農地や、10ha以上の集団農地で、高性能農業機械での農営に適した土地で、原則は「農地転用は不可」です。
3について
「第一種農地」は10ha以上の集団農地内にある農地、土地改良事業等の施行区域内にある農地で原則は「農地転用は不可」です。
4について
「第二種農地」は駅やバスターミナルから、だいだい500m以内の農地や、用途地域から500m以内にあり、10ha以上の集団農地から外れている農地で「転用は審査」になります。
5について
上下水道、ガス管のうち2種類以上が、前面の道路まで埋設してあり、500m以内に2つ以上の医療機関や公共施設が存在、駅やバスターミナルから300m以内にある農地で「転用は可能」です。
イメージとして、1~3はがっつり農地としての機能があり基本市街地から離れているので、耕作用の土地で使用して下さいねと、転用が原則できません。
逆に5は、街に近く市街地化が著しいエリアなので、転用を原則認めています。
4はその中間くらいの存在なので要審査です。
2つ目のポイントは、「市街化区域内」「市街化区域外」「生産緑地」のどれにあたるかです。
これで農地転用の制限が変わってきます。
(農地転用の制限)
農地転用の場合どのような区域かで全く変わってきます。下記です。
「市街化区域内」「市街化区域外」「生産緑地」のどれになるか。
「市街化区域内」の場合
「市街化区域内」とは、すでに市街地として形成されている区域、10年以内に優先的に計画的に市街化を図る予定の区域です。
この場合は「許可」ではなく、事前に「届出」を農業委員会にすれば農地転用ができます。
農業委員会に届出書を提出し受理されれば転用できます。
※ここで注意点は「市街化調整区域」です。
「市街化調整区域」とは、農業や漁業に必要な建物以外の建築を原則禁止しにしているエリアです。この場合は「届出」でなく「許可」が必要となります。
「市街化区域外」の場合
「市街化区域外」の場合は、転用の許可が必要になります。
農地区分でも書きましたが、農用地区域等の場合は原則許可は下りません。
第二種農地の場合は転用の審査があり、転用するための基準を満たしていれば審査を通ることができます。
※基準については次回書きます。
申請の窓口は農業委員会ですので申請書を提出します。
農業委員会は都道府県知事の意見を聞き、都道府県知事が都道府県農業会議、農林水産大臣に意見を聞き、転用の可否が決定します。
「生産緑地」の場合
「生産緑地」とは、良好な都市環境の形成を図るため、市街化区域内の農地を緑地として機能させ、計画的に農地を保全しようという制度です。
生産緑地になると、固定資産税などの税金に関して優遇を受けることができます。
ですが、農地を継続することが条件となりますので、土地の売却等が禁止されているので農地転用ができません。
この土地を農地以外の方法で利用するためには、「生産緑地の解除」が必要になります。
解除できる場合は下記です。
・生産緑地指定後から30年以上経過している
・農業に従事することができなくなった
・土地の所有者が死亡し、相続人が農業をしない場合
解除するためには、まず農業委員会に「農地の買取」の申し出をします。
その後、買取の告知を行って斡旋してくれます。
買取する人がいない場合に(3ヶ月)都市計画審議会を経て、生産緑地は解除となります。
(まとめ)
今回は農地転用の申請をする前に知っておかないといけないポイントを書きました。
宅地や駐車場に転用する場合、市街地は簡単で、郊外や農業に適したエリア等は難しいです。
土地の有効活用を考えると、市街地に農地よりは、宅地や駐車場が効率いいですし、郊外では大切な食料源を生産することに不動産を使った方が効率がいいというような考え方なのではないでしょうか。
次回は具体的な基準や申請の内容について書いていきますのでよろしくお願いいたします。
次回は「農地転用 ③」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。