こんにちは。
福岡県久留米市にあるLIFE行政書士事務所の中江です。
今回でブログ100回目の記事となります。
もともと、頭の中に知識としてはあることですが、それをブログとして形に残すという作業はなかなか大変でしたが、色々勉強にもなりました。
祝100回目の記事をどうするか悩んだ時、一番皆様から多かった質問について書こうと考えました。
その内容はこれです。
「行政書士って何?」
初めてお会いする方に名刺をお渡しする際に、3割くらいの方に「行政書士って何?」という質問を受け、他4割くらいの方が(ふーん、頭のいい人?)みたいな反応で、「あー!行政書士さんですか!」という反応は3割くらいです。
私の友人の多くも、私が何者かよく分かってない友達も多いです。
ですが、これは私の場合です。
他の先生方は違うと思います。
そして、その時私は行政書士とはどんな仕事か説明し、どうにか表面だけは理解してもらっています。
いずれ、この質問をされた時専用に、「行政書士とはそもそも」という名刺を別に作ろうかなとかも考えているくらいです。
「司法書士と何が違うの?」とかの質問も多いです。
桃と林檎くらい全く性質が異なる仕事です。
そもそも司法書士試験は合格率3%の超ハイレベルな試験を突破している方々で、頭が上がりません。
ですが、行政書士の先生方の多くも広く深い知識をお持ちの方も多く、他の仕業の方に一目置かれる人も多いのは事実です。
「行政書士」は、実はとても楽しく素晴らしい仕事なので、今回のブログに書いていきます。
今回は比較のため、弁護士の先生、司法書士の先生、行政書士の先生のことも書いていきます。
このブログの内容は、私の主観で書くのでそれが全て正しい訳ではありません。
他の仕業の先生や、他の行政書士の先生方の名誉を傷つけないように書きますので、宜しくお願い致します。
「行政書士とは」の内容を書いているサイトも色々ありますが、簡易的なので、今回はちょっとディープに行政書士の紹介を書いていきます。
まずは歴史からです。
○行政書士の歴史
行政書士の歴史は、「徳川時代」からその足跡がありました。
手紙や契約書、嘆願書などの代筆、いわゆる「代書人制度」が始まっていました。
明治5年に太成官達「司法職務定制」に初めて条文を見出すことができます。
明治6年に制定された「訴答文例」の歴史を経て、大正9年に「代書人規則」が制定され、初めて体系的なものが誕生しました。
時は流れ戦後。
昭和22年12月、日本国憲法施行の時に、効力を有する命令の規定の効力等に関する法律によって、「代書人規則」も失効し、その後は代書人の業務については、法制上、放置されていた状態が続きました。
そのため、住民の不利益を除去する必要から法制化を要望する動きが高まり、昭和26年に議員立法により「行政書士法」が成立し、3月に施行されました!
その後は何度か法改正され現在に至ります。
けっこう歴史は古いです。
○行政書士の使命と目的
行政書士には、「使命」と「目的」が定められています。
「使命」は「行政書士倫理綱領」に定められています。
「目的」は「行政書士法」に定められています。
まずは、「使命」です。
行政書士倫理綱領
行政書士は、国民と行政とのきずなとして、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献することを使命とする。
一、行政書士は、使命に徹し、名誉を守り、国民の信頼に応える。
二、行政書士は、国民の権利を擁護するとともに義務の履行に寄与する。
三、行政書士は、法令会則を守り、業務に精通し、公正誠実に職務を行う。
四、行政書士は、人格を磨き、良識と教養の陶治を心がけてる。
五、行政書士は、相互の融和をはかり、信義に反してはならない。
これに関しての個人の主観的な考えとしては、「使命」=「役割」と考えています。
現代は、社会が複雑になり、生活様式が高度化し、官公署に提出する書類も複雑で多様化しています。
行政書士は努力をし、深い法律知識と書類作成の技術が求められます。常に勉強です。
オンライン申請も増えてきましたが、やはり国民に負担がかかるので、行政書士が架け橋となって申請を行います。
この内容は上記の「一」と「三」です。
「二」「四」「五」は法律家としての当然あるべき姿の明文化ですが、私は個人的に「二」の中にある「寄与する」という言葉を大切にしています。
これは後で書く「目的」のところでも説明しますが、そもそも「寄与」の言葉の意味は「役に立つ、貢献する」ということです。
個人的に行政書士の仕事はサービス業に近いものと、私は勝手に考えてます。
ですので、お客様は依頼者だけでなく、役所などを含めたステークホルダー、社会全体がお客様であり、それに寄与することが「使命」と「役割」の1つでもあるのです。
次は「目的」です。
行政書士法 第1条
この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを目的とする。
「行政書士倫理綱領」は行政書士とはこうでないと!といった内容ですが、「行政書士法」は法律で具体的な内容を定めて、適正かつ円滑に手続きを行うことで、「国民の権利利益」を実現することが、「目的」ですよと書いていると思います。
つまり、先程も書きましたが、行政書士の最終的な存在意義は、どちらかというと「使命」よりは「目的」の部分に着地すると考えられ、「国民の権利利益」を実現するという事を形にすることだと思います。
結局、行政書士倫理綱領の内容も、要点をまとめていくと、「国民の権利利益」を実現するに達します。
ここで、他の仕業の法律を見てみましょう。
「使命」が定められています。
この使命の内容こそが、その仕業の役割であり、そこに色んな答えが存在します。
まずは、弁護士です。
弁護士法 第1条
弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義の実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基づき、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
「社会正義の実現」。ご覧の通り行政書士とは全く異質な使命です。
この法律は深く、行政書士の私が語る内容ではないので、ここまでにします。
私も以前、弁護士の先生に助けてもらったことがあります。
もの凄い知識の深さです。最強の法律家でしょうね。
次に、司法書士です。
司法書士法 第1条
司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。
「登記」、「訴訟」。ご覧の通り行政書士とは全く異質な使命です。
登記は、不動産の登記や商業登記など、非常に重大な業務で、登記法に精通した司法書士の専門分野です。
当然、行政書士は出来ません。
ここでは、「寄与すること」と行政書士法にも出てくる単語がありますが、目的が社会の形成と壮大です。
この法律も深く、行政書士の私が語る内容ではないので、ここまでにします。
司法書士の先生とは仲良くさせていただいてます。あんなに難しい試験を突破できるって凄いです。
実際、お話していて頭が凄く皆様いいです。
私と違います。
ここでポイントとして、士業の法律は第1条に「目的」が定められています。
他の士業は第1条に「使命」という単語を使いますが、、行政書士法は「目的」です。
これは、私の個人的な意見ですが、使命というのは、国から特権を与えらえた代わりに必ず成し遂げて下さいね、みたいなもので、目的はそこまで重いものではありません。
法令を遵守するのは当然のことなので、行政書士には、戸籍や住民票を代理で取り寄せることができる、職務上請求や車の封印などの特殊な力はありますが、他の仕業と比較すると、どちらかというと民間の仕事、サービス業に近いのかなと私は思います。
ですが、行政書士が出来る仕事の幅はどの仕業よりも幅広く、豊富な知識と経験を持ち合わせているので、どっちが上か下かはないのかもしれません。
行政書士の試験は、試験自体は他の仕業より簡単ですが、試験には実務に関する法令の問題がなく、実際は一番勉強しないといけないのは、合格した後です。
そう考えると行政書士で開業して仕事するまで、莫大な時間をかけ、勉強し、その後も絶えず勉強をしないといけないという、割と大変な仕事です。
※法改正が頻繁で、新しい法律がすぐにできるからです。
だからこそ、他の仕業の先生からも頼っていただけるのかなと思います。
では、実際の業務を書きます。
○行政書士の仕事
士業はそれぞれ専門分野の仕事があります。
裁判は弁護士ですし、登記は司法書士、税金は税理士、社会保険は社労士、不動産の表記登記は土地家屋調査士、船舶の登記や登録は海事代理士です。
色んな「士」が付く職種があり、士の言葉から「さむらいぎょう」とも呼ばれます。
各分野のスペシャリストがいるので、別分野の士は他の士の領域を侵害することはできません。
歯が痛いときは歯医者ですし、熱があるときは内科、骨折したら整形外科、花粉症は耳鼻科と同じ様なものです。
この別分野の士は、他の士の領域を侵害することは、それぞれの法律でも明文化されています。
それぞれの分野の先生が、分野の高度な専門知識で業務を行うからこそ、他の人はできません。
蛇の道は蛇です。
もし、勝手に色んな方が、その高度な専門知識が必要な、重大な行為を行うと最終的には社会を大きく混乱させることになります。
では、行政書士の仕事は何かですが、これも行政法に記載されてます。
簡単に書きます。
行政書士法 第1条2
行政書士
は、他人の依頼を受け報酬を得て、「官公署に提出する書類」その他「権利義務」又は「事実証明に関する書類」を作成することを業とする。
行政書士法 第19条
行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない。
要約すると行政書士の仕事は下記です。
①官公署に提出する書類
②権利義務
③事実証明に関する書類
①について
官公署(役所など)に提出する書類は、なんとなく簡単そうに思えますが、近年は複雑化、専門化してきていて意外と正確な書類の作成の難易度が上がっています。
業種の例は下記です。
・建設業の許可申請
・入札資格審査申請
・開発許可申請
・在留資格申請
・自動車登録申請
・その他
種類でいうと、もの凄い数です。多様化しています。
許認可の申請は法令にない、行政の裁量(行政の独自の判断)も認められているので、趣旨を理解した専門家が行うことでスムーズになります。
②について
権利義務の発生、変更、消滅に関わる書類です。
権利義務とは、例えば「債権」とかが代表例です。
誰かにお金を貸したとします。借用書みたいな契約書を作成したとします。
その場合、お金を貸した人は債権を持ちます。
その債権がいつ発生、変更、消滅するのか契約書に書きます。
この権利義務は色んな種類があり、例は下記です。
・売買、賃貸借、抵当権設定、雇用、請負などの契約書
・内容証明の作成
・遺産分割協議書、建築工事紛争予防協議書
・法人設立の際の必要書類(発起人会、取締役役会議事録、定款、株式申込書など)
これも高度な民法などの知識が必要で、行政書士の代表的な仕事です。
③について
何かの申請や手続きを行う際に、事実を証明する書類を添付することが多々あります。
その事実を書面化する仕事です。
事実証明の例は下記です。
・知的資産経営報告書
・営業報告書、財務諸表などの会計書類
・自動車登録事項証明書、交通事故調査報告書など
・相続関係説明図
・図面類の作成
(まとめ)
今回は「行政書士って何?」という質問が多かったので、ざっくりこんな仕事ですよという内容のブログを書きました。
ドラマとか漫画とかのテーマに取り上げられ、前よりは認知度は高くなりましたが、まだ全く内容を知らない方もいらっしゃるので、ちょっとでも多くの方に知って貰えたら嬉しいです。
現代は社会が複雑化、多様化していて、それにダイレクトに関わる行政書士のスキルも求められています。
対応していくには、沢山勉強しないといけないです。
本当、まともに休日を取れないです。(私の場合です。)
ですが、嫌になったことはありません。
私たちの胸に付けている行政書士のバッジは「コスモス」です。
コスモスの花言葉は「調和と真心」です。
行政書士会連合会のHPでは、このように掲載されてます。
「行政書士の徽章が意味するように、行政書士は社会調和を図り、誠意をもって公正・誠実に職務を行うことを通じ、国民と行政との絆として、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献することを使命としています。」
行政書士倫理綱領に記載されていることです。
まさに、その通りだと思います。
行政書士は「社会」に大きく関わる仕事です。
依頼者もお客様ですが、役所などを含めたステークホルダー、社会全体がお客様であり、それに寄与することが「使命」と「役割」の1つです。
目的は「国民の生活向上と社会の繁栄進歩」です。
そんな素晴らしい仕事内容とバッジのコスモスに誇りを持っています。
だから「休日なんてまともにとれない」と愚痴をこぼすことはありません。
社会は急速に変化しますので、常にアンテナを張り、勉強していくことも大事な仕事の1つです。
もともと私がアパレル業界を辞めて、この世界に入った理由は「洋服屋さんという小宇宙だけでなく、もっと社会に貢献できる仕事をしたい!」でした。
まさに夢叶ったかんじです。
まだ未熟で沢山やるべきことがありますが、頑張っていきますので宜しくお願い致します。
最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
次回のブログはお知らせも兼ねた内容です。「101回目のプロポーズ」についてブログを書きますのでよろしくお願いいたします。